2013 Fiscal Year Annual Research Report
関係者による利害関係のコンフリクトを解消した次世代大学評価モデルの開発
Project/Area Number |
23531121
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齊藤 貴浩 大阪大学, 未来戦略機構, 准教授 (50302972)
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Keywords | 大学評価 / 利害関係者 / コンフリクト / 外部質保証 / 内部質保証 / 情報公開 / 社会的責任 |
Research Abstract |
本研究の目的は,わが国の高等教育機関が置かれる関係性の中で,各種の評価の総体をシステムとして捉え,最適な大学評価の枠組みを開発することである。 大学には、教員と職員、そして学生が主たる利害関係者として存在する。さらに、進学希望者、進学希望者の所属する学校、保護者、さらには卒業生、卒業生の雇用主、産業界、社会、政府と、多種多様な大学の利害関係者が存在しており、普遍的な大学評価が存在しないのは、それぞれの利害関係者の利害が異なり、かつ大学評価を媒介として自らの利益を求めようとするためである。 大学の活動の全てを網羅することは難しいため、大学の主たる活動である教育を中心に、子どもを大学に進学させる予定の親と、大学の卒業生を雇用する企業等で採用に関わりを持つ者にアンケート調査を行った。(高等学校の進路指導主事への調査を予定していたが、保護者に直接聞く機会を得ることができたため予定を変更した。) それぞれ1000名を対象に質問紙調査を行った結果、親は将来のことを考えつつも、大学でどのようなことをするのか(教育だけではなく)に力点が置かれ、雇用する側は何ができるか(しかし何を学んできたかではなく)に力点が置かれていることが明らかとなった。これは、高校生の進路選択において、卒業後の状況を気にしつつも、それが大学の選択基準としては強くないことを考えると、目先のことしか見えない高校生、将来のことを気にする親、そして成果しか見ない企業という構図が明らかになった。 結果的に、望ましい大学評価は利害関係者によって異なる。最終的に大学評価に要求されるのは、各利害関係者が必要とする情報を適切に提供することであり、それが整理されていないために混乱が起きる。3月にソウル大学で発表を行ったように、大学を情報発信の中心として、利害関係者との関係性を重視した「社会的責任」に関するモデルが一つの解法となると考えられる。
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Research Products
(2 results)