2013 Fiscal Year Annual Research Report
学力向上政策における移民の教育に関する比較研究―ドイツとスイスの事例から―
Project/Area Number |
23531122
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
中山 あおい 大阪教育大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00343260)
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Keywords | 学力向上政策 / 移民 / QUIMSプログラム / 異文化間教育 / チューリッヒ |
Research Abstract |
スイスではPISA2000以降アクションプランが打ち出され、教育の機会均等を目指した学力向上政策が行われていくが、25年度はスイスの中でも移民の多い、チューリッヒに焦点をあわせ、そこで行われている移民支援のプログラムであるQUIMS(Qualitaet in multikulturellen Schulen:多文化学校における教育の質)について、学校訪問およびチューリッヒ文部科学省での聞き取り調査を行った。QUIMSには、①言語の促進(リテラシー)、②学校の成績の向上、③統合(integration)の促進の3つの重点課題があり、学校の状況によりどの課題に重点を置いた学校プログラムを実施するのか選択でき、移民の比率の高い学校において実践されている。 チューリッヒ文部科学省の初等教育部門にある異文化間教育部の所長であり、QUIMSの担当者によると、QUIMSは、①行政と学校とチューリッヒ教育大学等の専門家との連携において実施されており、②QUIMSを行う学校はチューリッヒ州からの財政支援を受けると同時に、③学校のQUIMS担当者は、チューリッヒ教育大学での研修を受け、学校での実施においても専門的な助言を受けることができる。また④異文化間教育や多様性に関する教員養成や教師教育のプログラムがチューリッヒ教育大学を中心に開発されていることがわかった。また、QUIMSを実践している学校においては、QUIMS担当教員と他の教員、校長との話し合いと連携により、QUIMSプログラムが具体化している様子がうかがわれた。チューリッヒを見る限り、政策に沿ったプログラムの開発と材(予算と人材)の投入、また研修を通した教職員の啓蒙と人材の育成が上手く機能したと言える。ただし、QUIMSと移民の成績向上についての実証的なデーターはまだなく、今後の課題である。
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Research Products
(1 results)