2011 Fiscal Year Research-status Report
地方におけるいじめ被害者への有責性意識とプライバシー防衛志向に関する研究
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23531127
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
竹川 郁雄 愛媛大学, 法文学部, 教授 (60236445)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 青少年問題 |
Research Abstract |
「いじめ被害側への有責性意識」と「プライバシー防衛志向」がどのようなメカニズムで生じているのかを実証的に考察するために、一般市民に対して調査を行った。(1)まず問題意識を明確にした後、調査設計を行い、日常の価値意識や人間関係間などに関する質問票を作成した。(2)松山市と大洲市の市民に対して、選挙管理委員会の選挙人名簿よりサンプリングを実施し、可能な限り代表性を維持するサンプルを収集することができた。(3)次いで、宛名書き・返信封筒印刷・挨拶文作成などを行って郵送による質問紙調査を実施した。その結果、2100名の郵送に対して、741名の有効回答を得ることができ、回収率は35.3%であった。(4)回収された調査票をチェックしつつ、コンピュータで分析可能なようにファイル化し、単純集計を算出して、データクリーニングを行い入力ミスを修正した。(5)平成23年度末の段階で、単純集計のそれぞれの項目について検討を行い、若干のクロス集計を算出した。 平成14年における松山市民に対する調査では、いじめられる側にも責任があると考える「いじめ被害側への有責性意識」は60.9%であったが、今回の平成23年の調査では、55.7%となっており、やや低くなっているものの以前半数を超える比率になっている。現時点では、男女別、年代別、松山と大洲を比較するためのクロス表を算出しており、さらに分析を進める予定である。「プライバシー防衛志向」については、単一の質問項目を設定していないので、公共性にかかわる多数の質問項目をクロス表等を用いて関連づけながら、分析を進める。以上、初年度は、調査の企画・設計を行い、テーマに関する質問紙調査を可能な限り精度を維持することにつとめ、質のよいデータを収集し、データの分析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の第1の目標である、一般市民への調査をだいたい計画通りに実施できたので、おおむね順調に推移していると言える。調査票に関する細部への質問事項の作成が今後の分析に有効なものとなった。松山市と大洲市の市民に対するサンプリングは、周到な準備に基づいてほぼ予定通りに実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に実施した郵送調査のデータについて、多元的な分析を行う。1.松山市と大洲市の市民の実態及び意識の違いについて分析する。2.平成14年実施の調査との比較を行う。3.甲南大学が実施した「現代家族における公共意識の育成に関する実証的研究」でのデータと比較を行う。4.各種意識・世論調査における集計結果と比較し、本調査の現代日本における位置づけを行う。5.いじめ問題を中心とした青少年問題に関する地域住民の意識について、生活価値観などを含めて総合的に分析を行う。 さらに分析により得られた知見を生かして、いじめ防止プログラムの改善を検討する。NPO熊本人権テーブルのプログラムリーダー養成研修会の参加して、いじめ防止プログラムの改善に向けて意見の交換を行う。また、調査を実施した当該地域の養護教諭に対して質問紙調査を検討する。特に学校関係者と中学生において「いじめ被害側への有責性意識」と「プライバシー防衛志向」がどの程度みられるかを探っていく。。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画(最大800字) 「いじめ被害側への有責性意識」と「プライバシー防衛志向」にかかわる文献収集のために、研究費の3分の1を当てる。熊本での研修会出席と東京とその近郊での情報収集のための旅費として、研究費の3分の1を当てる。データ収集及び資料の整理のために謝金及び消耗品として、研究費の3分の1を見込んでいる。
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