2011 Fiscal Year Research-status Report
大学でのグローバル人材育成:国際社会への参加意欲と活動力を高める調査と実践
Project/Area Number |
23531129
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小柳 志津 首都大学東京, 国際センター, 准教授 (20376990)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西郡 仁朗 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (20228175)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | グローバル人材 / 文化接触 / 異文化コミュニケーション / 国際理解教育 / プログラム開発 |
Research Abstract |
本研究では、まず「大学生の国際社会意識調査」「国際社会で必要な能力調査」「国際交流プログラム調査」を行い、その結果に基づいて「国際活動力強化プログラムの開発と実施」を行う予定であった。しかし、所属大学国際センターとして国際活動力強化プログラムを企画実施することが決まり、23年度初頭からプログラムを実施運営することとなった。このプログラムは、(1)国際活動力強化科目(週1回、通年)、(2)英語による教育科目の履修、(3)多国籍の人々とのプロジェクトワーク(夏期休暇中)、(4)グローバルキャリア講座(年4回)、(5)オーストラリア研修(春期休暇中3週間)からなり、"グローバル・シチズンシップ・プログラム(GCP)"の名称で学生募集し、単位認定がないにも関わらず計15名の学部学生が参加した。 また、プログラム開発・実施と並行して、国際社会で必要な能力調査を行っている。まず第一に、この数年大きく取り上げられている"グローバル人材"について、政財界で出されている報告書やレポートについて分析し、大学におけるグローバル人材育成に関する問題点や、グローバル人材に求められている能力についてまとめ、人材育成学会にて発表した。加えて、国際社会で必要な能力についてを異文化接触研究や国際教育研究の分野から調査し、特にintercultural competenceに関して文献調査や関係学会での情報収集にあたっている。 意識調査については質問紙の内容を精査しているが、最近よく言われる"若者の内向き志向"については、予備調査を進める中で量的調査では実情が把握しにくいことが見えてきた。そのため、まずは質的調査としてインタビュー等で詳細な現状把握と関係する要因の全体像をつかんでいきたいと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書で記載した実施計画に対しては、調査の順番が逆になることとなり、当初は23年度に予定していた国際社会意識調査の質問紙調査の実施が進んでいないが、この点については聞取り調査をまず重視し、国際社会への参加意識に関する要因を探っている。その一方で、国際活動力強化プログラムについては、今までの研究や本研究の途中結果を反映しながら23年度を通して試行錯誤を重ねて開発・実施し、参加学生からはかなりの効果があったという報告を受けている。プログラムの内容については23年度参加した学生達に質問紙調査をしており、引き続き面接調査を実施して効果と関連要因についての分析を進める。 研究実施計画からは上記のような差が生じているが、研究目的から考えると国際活動力強化プログラムの開発と実施が最重要課題であり、多少研究方法の変更が迫られてはいるが、目的に沿った形となっている。プログラム実施が早まったことにより、実施をしながら評価を行い、改善点を探りながらより完成度の高いプログラムを検討できることになる。
|
Strategy for Future Research Activity |
国際社会意識調査については、聞取り調査のデータを積み重ね、国際社会への参加意欲はどこから来るのか、向上に繋がる要因は何かなど、質的調査を続ける。その結果に基づき質問紙調査を実施し、大学生の意識の現状を把握するとともに、要因間の分析を統計的に行いたいと考えている。 国際社会で必要な能力調査については、引き続き文献調査を行うとともに、GCPや他の海外研修に参加した学生達からの聞取り調査を行い、彼らの経験に基づいてどのようなスキルや能力が必要と感じているかをまとめたい。 国際交流プログラム調査については、他大学や諸外国の内容を調査しようと考えていたが、実際のところ既に自らプログラムを実施しているため、そのプログラムの評価を確実に行い、学生にもたらされるアウトカムとプログラム内容の関連を重点的に調査分析する考えである。これにより、プログラムの実施中に経過や成果を観察できるため、より詳細な検証が可能であると思われる。ただし、国外や海外の取組みを知りその利点を生かすことが重要であるため、同様の研究をしている研究者との連携や、国際教育プログラムの視察なども行っていく。 国際活動力強化プログラムについては、昨年度からスタートしたGCPに加え、海外での活動に重点を置いたグローバル・リーダーシップ・プログラム(GLP)を開発して24年度から実施している。これら2つのプログラムを運営しながら、学生の変化(国際活動力の習得状況、語学力の向上など)を分析し、より効果の高いプログラムへと改良を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度の研究費使用計画については、大きな変更はない。大きなものとしては、質問紙調査にかかる調査票の準備・データ入力などの費用を予定している。また、国際社会で必要な能力調査のため学会等に参加しての情報収集や、海外で行われている国際交流プログラムの視察などについて、旅費が発生する予定である。
|
Research Products
(1 results)