2011 Fiscal Year Research-status Report
労働市場の縮小に伴う若年者の成人への移行過程の複雑、不確定化に関する実証的分析
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23531132
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Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
不破 和彦 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 教授 (60004115)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 青年から成人への社会的移行 / 青年の学習から仕事への移行 / 青年の就業に対する社会的支援 |
Research Abstract |
近年、新規高校卒者、大学卒者の多くは就業機会の悪化に直面している。それに伴い、若者に本来的に期待されている「教育」から「仕事」への直線的な移行も現実的に困難さをまし、成人への人間的、社会的、経済的移行を複雑、不確定なものにしている。この点を実証的に説明していくことが、本研究の目的である。 平成23年度には、福島県会津若松市、青森県青森市、五所川原市などを調査地として、地元で生活する若者を対象にインタビューによる調査を行った。そこでは、高校卒、大学卒後の就業歴と、その中で経験している離職の経緯、再就業に向けた取り組み、そして現在も正規雇用の機会を獲得しえず、非正規雇用や失業状況にあることから生じる生活不安、将来への見通し、さらには家族、地域社会との接合などについて具体的な把握に努めた。また、彼らに対するハローワークはじめ地元からの就職に受けた指導、支援状況や、職業教育・訓練施設で学ぶことについての関心や意欲などについてもあわせて確認に努めた。 インタビューの結果からは、現在、非正規雇用、失業にある若者が高卒、大学卒後に経験してきている就業歴の内容、また現在、そして将来の就業に対する考えも多様であり、そこに共通した傾向性を見つけ出すことは難しい。あえていえば、高校卒、大学卒までの教育・学習への関心や意欲、学業評価の低さが卒業後の就職活動に影響を及ぼしていることがあげられよう。一方には、現在の仕事に満足感、将来性を持てず、自ら希望する職種に従事するために必要な諸条件を確保するために、学習活動、職業教育・訓練に従事する若者もみられる。いずれにせよ、公的機関、社会全体として若者の就業に向けた多様な支援や協力が積極的に求められる。、
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の調査活動で今後の課題として残された点は、調査対象者についてである。本調査では、高校卒業、大学卒業後の就業歴を問わず、現在、無業者である若者を対象とすることにある。この点に関して、性別、年齢別、就業歴の有無、地域別などの諸条件を考慮し、構想にそって対象者を確保することが困難である。 この点を次年度の調査実施にあたって再考し、調査対象者が性別、年齢別などの属性で偏がらず、バランスがとれるように努め、無業者の若者たちの就業機会の獲得に向けた取組み、現状の生活、将来への期待感などを総体として把握できるように努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査活動の成果と課題を踏まえ、継続して調査を実施する。調査対象地として福島県会津若松市に加え郡山市、青森県青森市に加え弘前市、八戸市を取り上げ、地元若者を対象にインタビューする。 また、対象地にあるハローワーク、当該県の労働局などを訪問し、若者の就業状況、若者の就業支援状況とその成果、課題などに関連する資料収集に努める。 さらに、経済成長の著しい中国経済を主導する広東省を訪問し、若者の就業状況、就業をめぐる関心、要求・要望などについてインタビューを行い、日本の若者世代との対比に必要な資料とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の調査計画から、研究費の使途としては、国内外での現地調査(国内に関しては、5泊6日前後で5~6回、国外は1回)の旅費、宿泊代、さらにインタビュー協力者への謝金が主たる内容となる。 なお、本年度研究費の残額(年度末に実施した現地調査に要した諸経費を差し引いた残額)をも、次年度に活用していく。
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