2013 Fiscal Year Research-status Report
アメリカの対ラテンアメリカ教育開発政策に関する研究
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23531136
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
江原 裕美 帝京大学, 外国語学部, 教授 (40232970)
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Keywords | 開発援助 / 国際教育協力 / 教育開発 / アメリカ / ラテンアメリカ / ケネディ / 進歩のための同盟 / 開発 |
Research Abstract |
平成25年度は、ジョンソン政権時の開発援助政策と進歩のための同盟の推移を分析することを目標としていた。しかし、その目標の一部は達成できたものの、ケネディ政権の活動や政権内部の担当者の思想などをさらに細かく分析し補足する必要が生じたため、そちらが中心となった。 まず、ケネディの対外援助政策のブレーン、特に経済思想学者であり、政権内で重要な役割を果たしたW.W.ロストウの思想背景についてその著作から内容を読み解き、社会イメージ、経済援助の役割、マルクス理論への反論、思想的影響などから、そこに表出している近代化論の骨格を明らかにした。「離陸」への期間、開発途上国の人的資源の問題への言及のあり方、など、当時の理論の特徴を分析した。 また「進歩のための同盟」の機関別、分野別、年度別の支出分析を行い、その総額や特徴を明らかにした。さらに教育分野については、USAIDの報告書から特徴を捉えることを試みた。ラテンアメリカへの多国間の取り組みによる壮大な規模のプログラムであることが資金面からも明らかになった。 さらにケネディ政権における国際教育政策分析の続編として、同政権で初めて設置された、教育文化担当国務次官補であるフィリップ・クームズの仕事を跡づけ、当時の国際開発と教育におけるアメリカの政策意図と実際の活動を明らかにした。彼は「進歩のための同盟」の実行計画に教育分野を盛り込むことに成功している。 関連して、1950年代におけるユネスコの地域教育会議の開催に活躍したアクターと、開催までのプロセスを追い、開発思想と教育の関係を分析することを試みた。開発思想の広がりが、教育普及の動きに影響を与えていることが明らかになった。引き続き、ブラジルとの関係などに目を配りつつ、ジョンソン政権の対ラテンアメリカ援助政策の分析へと段階を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年は大学での授業が多忙であり、さらに体調の問題もあって研究時間が思うようには取れなかった。「進歩のための同盟」に関する現地資料の解読に時間がかかっている。また対ラテンアメリカ関係の中で重要なブラジルとの関係についての分析がまだ進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究資料をさらに整理、精選して読解に時間を割くようにする。また補足的な海外調査を行って、不足する資料を入手し、研究を進めたい。特にケネディ政権下の教育プロジェクトについてさらに調べるとともに、ジョンソン政権時の実績についてももう少し具体的に内容が分かるよう研究を進めていく。また、報告書等を発表したり、知り合いの研究者に批評をあおぐなどして、研究の質の向上に努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現地調査で新たに見つかった資料があるが、それらが予想より大量であった。さらに、2013年には体調不良が続き、長時間の座業ができない状態であり、研究資料を予定どおり読み進めることができなかった。 引き続き、必要資料を購入する。資料の整理のため、新しいパーソナルコンピューター等を購入し、資料をできるだけ電子資料化して保存するとと同時に読解をしやすくする予定である。補足的な海外調査を行う。また学会発表等の国内旅費にも用いたい。
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Research Products
(6 results)