2012 Fiscal Year Research-status Report
高等教育における女性の職業キャリア-母親の子育て・就業意識に注目して
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23531138
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Research Institution | College of Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
中村 三緒子 名古屋女子大学短期大学部, その他部局等, 講師 (70440089)
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Keywords | 教育学 / 社会学 / ジェンダー / 職業キャリア / 高等教育 |
Research Abstract |
本研究は高等教育機関を卒業した女性の職業キャリア分化を規定する要因を明らかにすることを目的としている。 高学歴女性の職業キャリア分化を詳細に把握するため、幼稚園教諭・保育士を目指す短期大学の1・2年生にインタビューを行った。保育者を目指す短大生に将来のライフコース展望、進路選択、家庭環境や母親の職業や働き方などについてインタビューした。インタビューの結果、1・2年生ともに高校の進路選択時に将来の就職などについて考え、短期大学への進学を決定していた。高校時代に習い事でスポーツなどを子どもに教えた経験や年少の子どもと関わった経験などが保育者を目指す要因になっていた。また、母親と同じ保育職に就きたいという身近な職業モデルが進路選択に影響を与えていた。 前年度専門学校生を対象に行ったインタビュー結果と短大生の結果を比較すると、中学時代の職場体験は専門学校生には保育者を目指す強い要因であったが、短大生には大きな影響を与えていなかった。また、両者とも高校の進路担当教員から進路選択にあたって様々な影響を受けていたものの、短大生の方が将来展望について詳細に検討していた。 前年度に専門学校生を対象に行ったインタビュー結果同様、家族の職業が女子学生の職業選択に影響を与え、卒業後の職業選択・将来展望が進路選択に影響を与えていた。先行研究では、女性のライフコースは学校教育と卒業後の様々な条件によって分化し、結婚後の家庭環境が女性の職業キャリアに影響を与えると指摘されてきた。結婚後の家庭環境が女性の職業キャリアに影響を与えることは議論されてきたが、家族の職業が女子学生の職業選択・将来展望に影響を与えることは十分に議論されてきたとは言いがたい。本研究は、短大生と専門学校生の進路選択や職業キャリア展望に高校生までの家族の職業や職場環境が影響を与えていることを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は高等教育機関を卒業した女性の職業キャリア分化を規定する要因を明らかにすることを目的としている。平成24年度は専門学校、短大、大学の各卒業生と在校生を対象に職業キャリア展望に関する調査を行う計画であった。 前年度に作成した調査票をより洗練させるため、幼稚園教諭・保育士を目指す短期大学の1・2年生に進路選択や進路選択時期、職業キャリア展望、ライフコース展望、家庭環境や母親の職業、働き方、子育て方法などに関するインタビューを行った。前年度専門学校生に行ったインタビュー結果と短大生のインタビュー結果から進路選択に際して、両者ともに将来展望や職業選択などは家族の職業や家庭環境から影響を受けていた。一方、専門学校生は中学時代の職場体験が保育者を目指す強い要因であったが、短大生では職場体験は大きな影響を与えていなかった。 両者のインタビュー結果から異なる要因について先行研究などから調査票を再検討する必要があり、調査票作成に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
・平成24年度は専門学校、短大、大学の各卒業生と在校生を対象に職業キャリア展望に関する調査を行い、調査結果の分析を行う。 ・前年度にインタビューを行った学生たちのインタビュー結果を反映した調査票を作成し、プリテストを行う。プリテストの結果をより洗練させるため、高等教育や女子労働に関する最新の先行研究等から調査票の再吟味を行う。 ・上記と同様の高等教育機関の在校生に対しても調査票を配布し、調査を行う。調査票は授業などの時間を利用して配布し、その場で回収する。 ・高等教育機関別類型による卒業生調査結果の比較を行う。 ・科学研究費補助金(基盤研究(C))平成19~21年度「大学類型による女性の職業キャリア分化に関する研究」結果と(基盤研究(C)(2))平成12~14年度「女性の高学歴化に伴う晩婚化と職業キャリアの関連性についての研究」結果、今回の調査結果との比較を行い、研究成果をまとめ、報告書を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・調査票を設計するために、女子労働と高等教育に関する最新の研究動向を収集する必要から学術図書を購入する。 ・高等教育機関別に約8,000人分を対象に調査を行うため、調査票の印刷費や発送・返送費、回収した調査票のデータ入力を業者に依頼する費用を計上する。 ・調査結果の分析を行うため、統計解析ソフトを購入するとともに、統計分析に関する書籍を購入する。 ・研究に必要な資料収集や打合せ、学会参加費用を計上する。 ・研究成果をまとめ、報告書作成費用を計上する。
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Research Products
(2 results)