• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2011 Fiscal Year Research-status Report

イギリスのフリー・スクールに関する比較教育学的研究

Research Project

Project/Area Number 23531143
Research InstitutionNakamura Gakuen College

Principal Investigator

望田 研吾  中村学園大学, 教育学部, 教授 (70037050)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywordsイギリス / フリー・スクール / 教育改革
Research Abstract

平成23年度における研究は、以下のように実施した。第1は、文献・資料の収集と分析である。連立政権によるフリー・スクール政策に関する文書、教員組合のフリー・スクール政策への態度に関する資料等を、主にインターネットにより収集し分析を行った。第2は、フリー・スクール等の訪問調査の実施である。 今年度は2011年11月に13日間と2012年3月に19日間の計2回の調査を実施した。調査対象は, 教育省, ロンドン大学教育インスティチュート、2011年9月に設立された フリー・スクール6校(初等学校4校、中等学校2校)、教員組合3団体、反フリー・スクール運動1団体、フリー・スクールの影響を受けた中等学校1校である。これらの調査においては、フリー・スクール担当官、教員組合担当者、校長等へのインタビューを行うとともに関連資料の収集を行った。本年度の調査で明らかになった主な点は以下の通りである。1.初等学校のフリー・スクール設立には、当該地域における学席不足が背景となっているケースが多く、父母の強い要望や地方当局の依頼によってフリー・スクール設立に至っていた。2.教員が設立主導者である場合、自己の教育理念に基づく教育実践を目指す校長等の強い熱意を基盤として設立されていた。この点においてアメリカのチャーター・スクールとの類似性が見られた。3.訪問した中等学校のフリー・スクール2校の場合、初等学校の場合とは異なり学席の余剰が見られる地域に設立されたため、設立に対する地域の学校関係者等による反対の意識がかなり強く、フリー・スクールの「政治性」はこうしたケースの場合に顕在化するように思われる。4.教員組合のフリー・スクールに対する反対の態度は一様に厳しいものであるが、フリー・スクールの校長、教員も教員組合のメンバーであることなどから「現実的」対応を迫られている状況が明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

申請書に記載された研究目的は以下の通りである。「本研究は、2010年5月に成立したイギリスの保守党・自由民主党連立政権の教育改革の中核に位置づけられるフリー・スクール政策を対象として、フリー・スクール導入の背景、フリー・スクールをめぐる政治的論争、フリー・スクール設立を意図する親や教師のグループ・企業等の実態、フリー・スクールのタイプ、その教育実践の実態等に焦点を当てつつ、フリー・スクールの実相を解明することを通じて、アメリカのチャーター・スクールやスウェーデンのフリー・スクールをモデルとする民設公営型学校であるフリー・スクールがイギリスの学校制度にどのようなインパクトを与えるのか、また先進国における教育改善に対して、民設公営型学校がどのような有効性を持つのかについて、比較教育学的視点から明らかにすることを目的とする。」 この研究目的達成にとって重要な研究計画の第1は、関連文献・資料の収集と分析であるが、連立政権のフリー・スクール政策関連の文書等の収集・分析は計画通りに実施した。第2に、本研究では現地訪問調査が、研究計画の中核を占めるが、23年度には2回の訪問調査を予定通り実施した。調査では教育省をはじめ、2011年9月に新設された24校のフリー・スクールのうち6校への訪問を実施し、フリー・スクールの設立に至る多様な背景や、これらの学校を取り巻く状況を把握することができた。さらに、教員組合等の訪問調査も主要な3組合(National Association of Head Teacher、National Association of Schoolmasters/Union of Women Teachers、National Union of Teachers)を対象として実施し、フリー・スクールに対する教員組合の厳しい態度を的確に理解することができた。

Strategy for Future Research Activity

平成24年度の研究については以下のように実施を計画している。 1.前年度に引き続いて、フリー・スクール関連、連立政権の政策関連の文献・資料を収集・分析する。 2.フリー・スクール調査:2012年9月に新設されたフリー・スクールを対象として(5校程度)を選定し、関連資料を収集するとともに、校長、学校理事、教員等を対象にインタビューを行うとともに、学校施設の状況を調査し授業観察を行う。 3.民間団体、民間企業、地方当局等の訪問調査:フリー・スクールに関与している民間団体、民間企業、フリー・スクールを抱える地方当局等の訪問調査 4.スウェーデンのフリー・スクール調査:イギリスのフリー・スクールはスウェーデンのフリー・スクールをモデルとしているために、研究の進行に伴い、スウェーデンのフリー・スクールの実態を把握する必要性を認識した。そのため、可能であればスウェーデンのフリー・スクール調査を計画している。(すでにスウェーデンのフリー・スクールについて研究を行っているロンドン大学研究者と打ち合わせを行っている。)スウェーデン調査が実施できない場合には、イギリス調査をさらに充実させる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度においても、前年度と同様、大部分の研究費は現地調査に使用する計画である。現地調査は、当初の計画では平成24年11月と平成25年3月の予定である。時期については、今のところ、この予定であるが、スウェーデン調査の実施が可能となれば、このうち1回をスウェーデン調査に充てるか、条件によっては平成25年3月にまとめておこなうことを考えている。 平成23年度において未使用の研究費は約11万4千円であるが、このうち約10万7千円は平成24年3月に実施したイギリス調査の際に使用しており、実質的な残額は約7千円である。この額は研究費全体からみれば少額であり、平成23年度の研究は上記の通り、ほぼ計画通り遂行したと考えている。

  • Research Products

    (1 results)

All 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] イギリス連立政権のフリー・スクール政策の展開2012

    • Author(s)
      望田研吾
    • Journal Title

      中村学園大学・中村学園大学短期大学部研究紀要

      Volume: 44 Pages: 177-190

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2013-07-10  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi