2012 Fiscal Year Research-status Report
授業記録の読解方略に基づく家庭科における授業記録の方法の開発
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23531148
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
佐々木 貴子 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (60322864)
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Keywords | 授業記録 |
Research Abstract |
本研究の目的は、家庭科における授業記録をもとに、その読解過程や方略(読み・理解のための活動・思考、知識等)について調査・分析し、授業記録をもとに授業分析をする方法を検討・開発し、さらにその活用方法を検討することにある。 今年度は、昨年度までに得られた結果を基に、①観察等による授業記録の読解方略(活動・思考、知識等)に関する調査として、北海道の現場教員と学生を対象に、授業記録の読解活動(教師・学生の独話法によるプロトコル分析)を行った。さらに、観察授業を文字に起こした授業記録をもとに、現場教員間、学生間で授業分析を行ってもらい、読解過程の違いをみた。②千葉県の小学校教員が授業記録をどのように活用するか、ワークショップ(研修)を通しての検討も行った。今年度の予定では、名古屋大学において開発された授業研究と授業分析の方法をとりいれたワークショップを実施する予定であったが、大学の他の業務等との名古屋大学への視察ができなかったため、独自の手法で行った。③家庭科と他教科の授業をビデオに記録し、それを文字に起こして分析することにより、家庭科という教科における授業の特徴を検討することもできた。 今年度までの研究を通して、現場教員は授業記録をもとに自身の授業を振り返ることに、抵抗感を持つ人がいるということがわかった。また、他の教員の授業を分析する際に、教員によって分析の観点が異なるため、最終的には感覚で授業の善し悪しを判断していることもわかった。さらに、授業分析を通して、家庭科の授業の特徴も示唆された。 以上の成果から、授業記録をもとに、その読解過程や方略を見いだすための多くの示唆が得られたので、これらを次年度のまとめにつなげていきたいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、小・中学校の現場では、家庭科を担当する教員が一人しかいないことも多く、自身の授業を省察し、よりよい授業づくりにむけた研修をする機会が少ない。この研究では、北海道家庭科教育協会に所属する小・中・高等学校教員の協力を得て、授業実践をビデオに記録し、それを文字に起こした授業記録をもとに、授業評価を行う研究を積み重ねてきた。このことにより、授業をビデオ等に記録し、文字化した授業記録を読み返すことにより、冷静に授業分析ができるとともに、よりよい授業づくりをめざすことの重要性を理解する教員が増え、さらに授業評価に対する抵抗感も薄くなってきたように感じる。現場の教員の授業力を向上させるための一つの手立てとしては、その意義を果たせていると考える。 また、家庭科と他の教科の授業分析を比較したことから、家庭科の特徴が明らかになり、さらに授業分析の観点も見いだすことにもつながったように考える。 これらのことをふまえて、おおむね順調に進展していると考えている。 ただし、大学の業務等の関係から、名古屋大学で開発された授業研究と授業分析の方法を取り入れたワークショップの視察ができなかったことが残念に思っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、平成23、24年度で得られた結果を基に、授業記録から教師の実践知を抽出し、それらをもとに知識体系を構築し、さらに、授業記録の活用方法を検討する。 また、得られた結果をとりまとめ、学会や研究会等で成果の発表を行いたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果を冊子にまとめるとともに、その成果を学会や研究会等で発表を行うための費用としたい。
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