2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23531150
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
蝦名 敦子 弘前大学, 教育学部, 教授 (20302010)
|
Keywords | 小学校の特性 / 図画工作科 / 造形活動 / 集団 / 校外学習 / 学校行事 |
Research Abstract |
本研究では、図画工作科の内容を教科として捉えつつも、閉ざされた教室の中での授業ではなく、空間的にも人数的にも多様に実施される特別活動などの教科以外の機会も視野に入れて、発展的な図画工作科における授業の可能性とその意義について考究した。 低・中・高学年とそれぞれの学年を対象とし、学校行事、校外学習などの特別活動と図画工作科との関連や、造形遊び、絵や立体、工作、鑑賞などの学習内容に言及し、授業形態については、個人、班活動、クラス全体の共同製作、学年単位、異学年合同の活動、学級から地域への合流と、多様な人数で実施された造形活動を広く取り上げ検証した。 3年目の最終年度には、これまでの研究の総括として、小学校では児童が6年間、集団で学校生活を送ることに焦点をあて、「小学校における集団がもたらす造形活動―学校行事と図工科の表現を比較して―」と題して考究した。そして、3年間の研究内容を、第1章「校外学習と図画工作科」、第2章「異学年交流と図画工作科」、第3章「環境(アート空間や校舎)と図画工作科」、第4章「地域性と図画工作科」に分類して、研究成果報告書にまとめた。 小学校の特性には、大きく3点挙げられる。①学校:校外学習や学校行事が多い。②教師:一人の教師が複数の授業を担当する。③児童:6学年わたって集団生活をする。これらの特性を相互に生かすと、小学校独自の多彩な造形活動が可能である。特に、図工・美術は個の表現が基本であるが、小学校では集団によるダイナミックな活動が実現しやすい状況にある。児童の交流に、造形活動が大いに効果を発揮し、みんなで協力し合って優れた造形活動がなされている。日本のものづくりの原型が、小学校の中で既に培われていると言ってよい。造形活動が子どもたちを柔軟に結びつける意義は大きく、今後、小学校では図画工作科が核となって、益々造形活動が充実していくことが不可欠である。
|
Research Products
(8 results)