2012 Fiscal Year Research-status Report
鑑賞教育指導案の批判的考察と授業モデル(方法論)の構築
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23531151
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
立原 慶一 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (10136369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 治志 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (40143044)
虎尾 裕 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (80302256)
降籏 孝 山形大学, 教育文化学部, 教授 (20302284)
長瀬 達也 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30333917)
佐藤 光輝 弘前大学, 教育学部, 准教授 (50333703)
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Keywords | 普遍的同感 / 美的特性の感受 / 主題の感受 / 鑑賞能力の類型化 / 鑑賞能力の数値化 |
Research Abstract |
上位の第1、2類型に属する指導案及び、ワークシートの形式(質問項目と配列法)を次の観点から改善する。それは、鑑賞体験を構成する4契機が充足されるべき、という指針である。次いで、修正指導案に基づく教育実践を行う。生徒が授業中に書いた、ワークシートの内容を能力別に類型化及び数値化し、教育効果の高い指導案と見なされるものを選定した。 宮城教育大学学部授業として設定されている、「美術科教育実践演習(2年生と実習予定の3年生が対象)」で学生に模擬授業を行わせる。その後、宮城教育大学附属中学校における教育実習で2週間、鑑賞の研究授業が行われる。同時進行の形で仙台市並びにその近辺にある、一般校で研究協力教員が現場実践した。23年度内に一度、仙台市で研究分担者と研究打合会を行うものの、24年度の段階から彼らが本格的に研究に参入する。絵画、彫刻、工芸、デザインの専門的立場を取れる大学教員と、生徒における発達の実態を熟知している大学教員の手助けを受けて、各種題材指導案の軌道修正と内容的な加味、充足がなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
中学校学習指導要領美術編、[2・3年生]B鑑賞(1)の「ア」は理論的に無自覚ではあるが、鑑賞体験の本質に関する洞察と、それに基づく鑑賞能力観を打ち出している。これは近接学問分野にはない、美術教育独自の見識と言ってもよい。それに対して「イ」「ウ」は美術史・芸術学を前提とした、教養主義に依拠している。この立場からの指導案が多く目に付くが、これにのみ従えば生徒の感動する心はしぼみ、美意識も育成されまい。本研究はこの趨勢を反省し、「ア」がねらいとする「美的特性の感受」「解釈」「主題感受」「判断」の4契機が達成されるような、授業モデルを構築した。それによって、生徒が主体となれるような鑑賞授業を、促進することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
鑑賞授業で課せられるワークシートでは、「表現方法の特徴を突き止めて、それから何が感じ取れるか(美的特性の感受)」「作品の主題として感じ取れるものは何か(主題の感受)」が不可欠な課題とされるが、この回答内容こそが研究対象となる。すなわち美的特性感受の回数と主題感受の有無は、鑑賞能力を類型化し数値化するための基本データとなり、客観的に処理される。この評価法を採用することによって、方法論的仮説としての各種指導案の有効性を判定しようと思う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
美術館を視察して、鑑賞題材としての可能性を吟味する。そのため研究費は主に旅費にあてがわれる。
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Research Products
(5 results)