2011 Fiscal Year Research-status Report
英国Xクラブ会員科学者による科学活動と1880年代日本における科学教育の形成過程
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23531152
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
永田 英治 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (20164428)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ヴィクトリア朝後半期 / Xクラブ会員科学者 / 科学・工芸局 / サウス・ケンジントン博物館 / 科学教育の制度化 / 1880年代日本 / 科学教育の開始 / 理化振興 |
Research Abstract |
1)ヴィクトリア朝後半期の科学教育振興策とその活動について,科学史,教育史文献を収集検討して,これまで研究されてきた到達点と概要を整理した。ことに,ロンドン大学や王立鉱山学校,王立化学カッレッジなどの新構想大学と連動した科学教育振興策,科学・工芸局およびサウス・ケンジントン博物館の科学教育普及活動について概括した。 2)文部省,東京大学,教育博物館が行った科学教育振興策と,英国新構想大学と連動した科学教育振興策と,科学・工芸局およびサウス・ケンジントン博物館の科学教育普及活動との対応年表を作成し,それを調査指針として,日本への受け入れおよびそれに貢献した日本人研究者の足跡を追跡・整理した。 3)また,1880年代日本の初等・中等科学教科書,教授法書の,英国における科学教育活動からの影響を一覧する作業年表を作成して,検討・概括した。 4)Xクラブ会員科学者9名が行った教育振興活動を科学史,教育史の文献から収集して概括し,Xクラブ会員科学者の足跡,記録の調査を開始した。 5)1880年代日本の「理化」振興策・活動で普及された科学機器およびその原型を多く保有する欧米の博物館研究員が多数参加する,第30回国際科学機器シンポジューム (XXX Symposium of the Scientific Instrument Commission,Germany)に参加し,18世紀西欧の科学啓蒙活動と19世紀西欧における科学教育の制度化について,研究情報・助力を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヴィクトリア朝後半期の科学教育振興策とその普及活動を概括し,Xクラブ会員科学者のそれらにかかわる活動の調査,およびそれらの日本における科学教育振興策,教科書,教育法の普及への影響の調査・概括については,当初計画どおりあるいは期待していた以上に進んだ。 しかし,Xクラブ会員科学者個人の教育活動と英国全体にかかわる科学教育振興策との関係,および他のXクラブ会員科学者の活動との協同関係につては,計画どおりに調査が進まなかった。Xクラブ会員科学者が所属した教育・研究機関での教育活動の調査は,平成24年度に開始する計画だが,23年度中に予定したインペリアル・カレッジ,オウエンズ・カレッジでの活動の先行的調査を前に進めることができなかったことが影響していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に,Xクラブ会員科学者が活動したおもな場所,機関(キングス・カレッジ,ユニヴァーシティー・カレッジ・オブ・ブリストルなど当時の新構想大学)での足跡,記録の調査を開始する計画であるが,インペリアル・カレッジ,オウエンズ・カレッジなどでの活動の調査もあわせて引き続き行う。 文献調査や先行研究を発展させること以上に,足跡,記録の直接的調査の重点をより高めて進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)日本の科学教育の形成,振興に尽くした人々の手記・渡航などの足跡の記録を調査し,Xクラブ会員科学者とのコンタクトの程度,全容を明らかにする。(調査旅費) 2)Xクラブ会員科学者9名が活動したおもな場所,機関(インペリアル・カレッジ,オウエンズ・カレッジ,キングス・カレッジ,ユニヴァーシティー・カレッジ・オブ・ブリストルなど当時の新構想大学)での足跡,記録の調査を開始する。(調査旅費) 3)英国での科学振興にともなう教育の振興活動と,日本での科学教育の形成過程における「理化振興」活動を比較する図表を作成する。 4)1880年代日本で普及された「理化試験」機器およびその原型を多く保有する欧米の博物館研究員が多数参加する第31回国際科学機器シンポジューム(XXXI Symposium of the Scientific Instrument Commission)に参加するなど,各種学会で,研究の中間発表をし,必須な情報・助力を得る。(研究発表旅費)
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Research Products
(2 results)