2012 Fiscal Year Research-status Report
英国Xクラブ会員科学者による科学活動と1880年代日本における科学教育の形成過程
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23531152
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
永田 英治 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (20164428)
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Keywords | ヴィクトリア朝後半期 / Xクラブ会員科学者 / 1880年代日本 / 科学教育の形成 / J. チンダル / T.H.ハクスリー / 手島精一 / 市川盛三郎 |
Research Abstract |
1) 日本の科学教育の形成,振興に尽くした人々は,英国Xクラブ会員科学者たちの科学教育活動およびその背景にあった教育理念に多くを学んでいたが,彼らが留学,訪英した時に交流した科学者たちから多くの情報を得ていた。その人々の手記・渡航の足跡の記録を調査し,Xクラブ会員科学者とのコンタクトの程度,全容を調査した。ことに,市川盛三郎,手島精一,西村貞らの手記・渡航などの足跡の記録を調査し,Xクラブ会員科学者との間接的なコンタクトの概要をまとめた。 2) Xクラブ会員科学者9名が活動した主な場所,機関(キングス・カレッジ,ユニヴァーシティー・カレッジ,ロイヤル・インスティテューションなど)での足跡,記録の調査を開始し,Xクラブの科学者たちは,T.H.ハクスリーをリーダーとしてことに彼と親交が深かった科学者たちと,J. チンダルをリーダーとしてことに彼と親交が深かった科学者たちとの2グループに分けて追跡できることを明らかにし,調査を進めた。さらに,彼らが互いに協力しながら教育活動をしたその全容は,彼らの著作に記された個々の活動記録を,残されている手稿,日誌によって関連づけることによってかなり明らかにできる見通しをたてることができた。 3) 英国での科学振興にともなう教育の振興活動と,日本での科学教育の形成過程における「理化振興」活動を比較するための,作業用図表を作成した。 4) Xクラブの領袖の一人,J. チンダルの教育活動の足跡を,彼の著作にある記録,他のXクラブ会員科学者,同時代の科学者による証言記録から引き出し概括し,一部,日誌・手交と比較検討することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Xクラブ会員科学者たちの科学教育活動の概要とリーダーシップ,および日本の科学教育の形成,振興に尽くした人々が彼らに学んで行った活動の全容については,順調に調査が進んでいる。 しかし,夏に,2010年12月の発作をおこした心筋梗塞の術後が思わしくなく,手術入院した。そのため,Xクラブ会員科学者たちの手交・日誌の英国での調査を行えず,2013年3月初めに短期間の調査になった。調査・研究の情報・助力を得る機会となるはずであった第31回国際科学機器シンポジューム(XXXI Symposium of the Scientific Instrument Commission)に参加することもできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,英国での科学振興にともなう教育振興活動と,日本での科学教育の形成過程における「理化振興」活動を比較し,両国の振興活動の背景,実効性を検討してまとめることに力を入れ,その作業過程で必要になった補完調査をする予定であったが,前半期に,Xクラブ会員科学者たちの手稿・日誌・手紙の英国での調査をすみやかに進めたい。必要箇所をしぼりこみ複写郵送してもらう可能性なども追求して進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1) 日本の科学教育の形成,振興に尽くした人々のXクラブ会員科学者とのコンタクトの全容を総括する。(調査旅費) 2) Xクラブ会員科学者の科学教育振興活動を総括する。そのために,Xクラブ会員科学者たちの手稿・日誌・手紙の調査をする。(キングス・カレッジ,インペリアル・カレッジ,ロイヤル・インスティテューション,ユニヴァーシティー・カレッジ・ダブリンなど)。(調査旅費) 3) 英国での科学振興にともなう教育振興活動と,日本での科学教育の形成過程における「理化振興」活動を比較する図表を完成する。これをもとに,両国の振興活動の背景,実効性を検討してまとめる。
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