2013 Fiscal Year Annual Research Report
英国Xクラブ会員科学者による科学活動と1880年代日本における科学教育の形成過程
Project/Area Number |
23531152
|
Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
永田 英治 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (20164428)
|
Keywords | Xクラブの科学者 / British Association / 英国科学振興協会 / 労働者むけ科学講演 / トートン委員会 / デボンシャー審議委員会 / 明治期科学教育の形成 / 理化実験奨励ブーム |
Research Abstract |
1)Xクラブの科学者たちが行った科学教育活動の全容調査を発展させ,英国の科学教育の制度化に果たした役割を,5期に渡って会長を擁立し9期に渡って評議員を送り込んだ英国科学振興協会(British Association for the Advancement of Science,B. A.と略称する)におけるXクラブの科学者たちの活動を調査・概括することによって明らかにすることができた。B. A.では,原著講演,一般参加者への夜間科学講演を積極的に行っただけでなく,新たに労働者むけ科学講演会を開設させてその講師を務め,B. A.内の「諸学校における科学教育に関する委員会」,「科学研究の国家支援に関する調査委員会」で中心メンバーを占めて,英国19世紀における科学教育,科学研究の制度化に決定的な役割を果たしたSICトートン委員会,デボンシャー審議委員会の審議,報告に強い影響を与えたことが分かった。 2)王立研究所,王立鉱山学校,王立化学カレッジでの教育活動と上記B. A.での活動の制度への反映成果が,明治10年代における文部省,教育博物館における理化振興,理化実験奨励ブームにおけると並行していることを示す,対照年表を作成することができた。 3)Xクラブの科学者たちによる科学の著作が,わが国明治期に,翻訳されて教科書や啓蒙書になっただけでなく,彼らの影響を受けた同時代の科学者,教育者による活動,著作が,少なからず日本へ紹介,翻訳されたが,Xクラブの科学者たちとの関わりを知らずに移入されていたことを事例的に明らかにできた。 4) 以上により英国での科学振興,教育の制度化と,日本での科学教育の形成過程における「理化振興」活動の振興活動の背景,実効性を検討することが可能となった。
|
Research Products
(2 results)