2013 Fiscal Year Research-status Report
キャリア開発・予防職業生活問題教育の日仏比較とカリキュラム再構築
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23531158
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
上里 京子 群馬大学, 教育学部, 教授 (80202448)
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Keywords | フランスの教育課程 / キャリア準備教育 / 職業生活教育 |
Research Abstract |
フランスの「予防・健康・環境」科おける予防職業生活問題教育のカリキュラムについて、新プログラムの分析を通して考察した。 「予防・健康・環境」の目的は、個人および集団的予防の主導者を、①予防・健康・環境に関する知識、②自分の健康と環境に対して責任ある行動、③自分と他者を尊重し、社会生活を成功させることができる社会および市民の能力、④批判的精神を発達させることを目ざす科学技術の教養、⑤分析過程と問題解決の過程を統合する方法論、を獲得することによって育成することとしている。 教授学習過程と教育方法については、社会及び職業生活の具体的状況に基づく活動主義の教育方法として、特に情報通信技術の利用を重視し、リセ第2学年では、今日的な出来事や個人的経験から生じた状況を帰納的過程の出発点として、問題解決の方法論を拠り所とする。第1学年および最終学年における教育方法は、演繹的進め方で、特に、職場での職業教育期間に観察された状況分析を指導することを明示している。 以上にみられるカリキュラムの特徴は、現在及び将来の職業生活の準備に必要な現実的で、実践的な科学的知識を、問題発生の予防と問題解決に活用できるように、具体的な能力と態度の到達目標に沿って系統的に配列している点である。また、教育方法においても、現実の問題や経験を帰納的学習の出発点として問題解決の方法論を取り入れ、学年が進むにつれ、演繹的学習による現状分析を重視しており、帰納と演繹を繰り返す科学の方法論を用い、確実に知識・能力・態度を習得していくための教育方法として組織している点が特徴的である。 一般的に、科学教育はアナリシス(分析)、生活教育はシンセシス(総合)が主体になるが、フランスでは科学リテラシーと市民生活リテラシーを結合させる方法論として、帰納と演繹を繰り返す科学の方法論が教育課程開発で導入されているといえよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画に沿って遂行できた。特に、フランスの「予防・健康・環境」科の新カリキュラムに関するインタビュ-調査を実施して、新プログラムの背景等についても分析した。
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Strategy for Future Research Activity |
前3年間の研究成果について再度検討を行いつつ、フランスで続けられている「教科の再構築」論議の背景と特質を明らかにする。これらの研究成果をもとに、今後の日本における小・中・高を一貫したキャリア開発・予防職業生活問題教育のカリキュラム構想および開発を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究に必要な書籍等の発行が予定より遅れ、発注できなかったため。 研究に必要な書籍等の発注は、既刊のものは速やかに行い、発行前のものは研究期間内に発行されるか確認し、使用計画を早めに修正する。
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Research Products
(1 results)