2013 Fiscal Year Research-status Report
科学的な思考力の育成を図る教授・学習方法の開発と教師教育への適用
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23531159
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
清水 誠 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30292634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高垣 マユミ 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (50350567)
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Keywords | 科学的な思考 / 探究的な学習活動 / 思考のスキル / 言語活動 / 批判的思考 |
Research Abstract |
本研究は、科学的な思考力の育成を図るため、人がどのように科学的な思考をしていくのか心理学的な研究を整理した上で、(1) 科学的な思考力を深める要件、思考のための枠組みや技能、必要な方略を明示した新たな実践的な教授・学習論と教授方法を構築し、その効果を探る、(2) 科学的な思考力の育成を図る、より効果的な教師教育用プログラムを開発し、教師教育への適用と教員の研修会等において活用できるようにする、ことを目的としている。 平成25年度は、これまでの研究を引き継ぎ、研究協力者とともに理論構築した授業を実践し、フィールドワーク、アクションリサーチ、参与観察等により収集した記録をプロトコルや図に起こし、分析結果に基づき、研究者と小中学校の教師で科学的な思考力の育成を促す教授・学習方法の構築を図ってきた。特に、本年度は、平成24年度の全国学力・学習状況調査等の結果において他者の考えを認識し,多様な観点からその妥当性や信頼性を吟味したりすることなどにより,批判的に捉え,自分の考えを改善できるかどうかを問う問題に課題があるとされた、批判的思考力の育成方法の検討を行った。その中で、私たちが開発した教授方略は,本来は問題解決の際に個人内で批判的に思考するために使用される要素をグループ内に役割として分散・外化し,成員同士で話し合いを行い、そのプロセスと要素を理解し,最終的に熟達化した個人となることを促す方略である。具体的には,批判的思考の構成要素を役割として分担し,成員同士で協調して話し合いを行わせる。複数回にわたる学習の中で,各役割を交代して話し合いさせることで批判的思考のプロセスと各構成要素に必要なスキルを身に付けさせようとする教授方法の確立とその効果の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度以降の計画は、平成23年度の研究を引き継ぎ、次の①~⑤のように研究を実施することであった。①研究協力者とともに理論構築した授業を可能な限り数多く実践し、フィールドワーク、アクションリサーチ、参与観察等により収集したビデオカメラ等の記録をプロトコルや図に起こす。②アンダーソン(1983)、チィら(1981)や小倉(1998)らの研究を参考に、科学的な思考を深めていく過程を分析する方法を確立し、その分析方法に基づき①で起こした記録の分析を行う。③②の分析結果に基づき、研究者と小中学校の教師でプロジェクト会議を開きながら、科学的な思考力の育成を促す教授・学習方法の構築を図る。④③で構築した教授・学習方法により検証授業を行い、その成果を明らかにする。⑤研究を総括し、児童生徒が科学的な思考力を育成する教授・学習方法の最終的な構築と教師教育の適用を図るプログラムの作成を図る。 こうした目標に対し、平成25年度は①~④に示した科学的な思考について検討を深めることができた。加えて、⑤について批判的思考力の育成の教授学習プログラムの構築も図ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の平成26年度は、これまでの研究を総括し、小中の教師とプロジェクト会議等を開催し、児童生徒が科学的な思考力を育成する教授・学習方法の最終的な構築と教師教育の適用を図るプログラムの検討・構築を図ることにする。そのうえで、開発した教授学習モデルを小・中学校の教師を対象にした研修会、講演会、図書等に公開し、その浸透を図る。また、教師・学生が活用のしやすい科学的な思考力の育成を図る授業を収録し、公開・提供を図ることにする。
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