2011 Fiscal Year Research-status Report
明治後期から昭和戦前期の師範学校における赤津隆助の図画指導の役割に関する研究
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23531163
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
増田 金吾 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20134786)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教育学 / 教員養成 / 師範学校 / 美術教育史 / 図画教育 |
Research Abstract |
現代的教育課題に対処する時、教員養成そのものの検討は重要となる。これまでの研究の積み重ねにより、こうした検討を行う上で明治後期から昭和戦前期の師範学校教師で、図画教育家の赤津隆助の指導法に、多くのヒントが見出されると考えた。本研究は、師範学校における赤津の研究を進めることにより、今日の教員養成において見直すべき点を明確化しようとしている。 研究実施計画に基づき、今年度(平成23年度)は、最初に「赤津隆助の教育思想形成研究」に関し、「明治時代中期の図画を中心とする学校教育の実態調査」のうち、文献による概要把握を行った。しかし、今年度は、この概要把握が必ずしも十分であったとは言えない。それは、当初予定していた「赤津に影響を与えた美術教育思想の調査」においても同様であり、こちらの方はほとんど進んでいない。 次に、「師範教育と赤津隆助の教育思想との関連性の追究」を行うために、「明治時代中期から昭和戦前期の師範学校のカリキュラム調査」を行った。教員養成に関する文献調査として、赤津の勤務した東京府青山師範学校に加え、予定通りに訪問できない所もあったが、宮城教育大学、奈良教育大学、京都教育大学の附属図書館等を訪ねて文献収集を行った。これらの各師範学校時代のカリキュラムに関する資料を収集・整理し、考察もある程度行った。これらの直接収集した資料は、第一次資料であり、教員養成史研究、美術教育史研究として意義深い。 なお、平成24・25年度に予定していた「赤津隆助が与えた教育的影響」に関する増田による美術教育者インタビューのテープ起こしは、研究補助者の都合により、予定を変更して本年度に実施した。美術教育者3名の倉田三郎、箕田源二郎、熊本高工について実施した。これらの美術教育者はすべて物故者であり、直接話を聞いたものを文字化した資料は重要な意味を持つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究者・増田は、平成22・23年度と東京学芸大学の附属学校運営参事を務めた。本学は、当時附属学校を全部で13校園有していた。(平成24年度には12校園となる。)約6,000名の幼児・児童・生徒、約330名の教員がその対象である。運営参事は、大学と附属学校間の連絡調整、附属学校への指導・助言を行うほか、附属学校の運営に関する業務を処理する立場にある。本職は、急を要し、対応が最優先される事柄が多々ある職務内容である。加えて、運営参事は、大学教授職と併任であるため、学部・修士・博士課程の各学生指導を始めとする教授職本来の職務も平行して行う立場にある。 以上の状況により、教授職の任務に研究活動が含まれていることは十分認識しているものの、遺憾ながら研究活動が後回しになりがちとなってしまった。こうした理由から、今年度は予定したエフォート35%を確保することが難しく、研究がやや遅れることとなってしまった。 しかし、「研究実績の概要」でも述べた様に、都合により平成24・25年度に予定していたインタビューのテープ起こしを本年度に行うなど、予定が早められた部分もある。 平成24年度からは任期満了により運営参事の職を離れ、平成23年度に比べればより多くの研究が行えると考える。ただ、平成24年度からは、本学芸術・スポーツ科学系の学系長を任期の2年間務めることとなったので、その職務や教育活動と、研究活動との両立を目指し、気を引き締めてかかるつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、「赤津隆助の教育思想形成研究」における「明治時代中期の図画を中心とする学校教育の実態調査」の文献による概要把握を更に進める。加えて、「赤津に影響を与えた美術教育思想の調査」を実施する。 次に、平成23年度に引き続き、次年度は「師範教育と赤津隆助の教育思想との関連性の追究」の内の「明治時代中期から昭和戦前期の師範学校のカリキュラム調査」を行う。今年度に訪問できなかった北海道教育大学札幌校を訪ね、中国四国地区として広島大学、九州地区として福岡教育大学を訪ねることとする。こうしたことにより師範学校時代の資料を収集し、考察する。 続いて、「赤津の教育評価方法の調査」について調査、検討する。赤津の関わっていた新図画教育会などで発表した文章や美術教育雑誌『学校美術』等その他の著書・雑誌等に執筆したものを精査し、青山師範学校関係の文献に加えて、それらの著書・雑誌等における赤津の教育評価方法について調査する。 以上の調査に加え、赤津の出身地・福島県いわき市の図書館等で赤津の成長時における教育状況について調査し、その後の赤津像との関係性の把握に努める。 そして、平成24年度から25年度にかけて、「赤津隆助が与えた教育的影響」について検討する。赤津は、青山師範学校において多くの美術教育者やその他有為な人物を育てている。これは、本研究に着目した理由の一つであるが、こうした「結果」に教育の成果を見ることができよう。具体的には、美術教育については、武井勝雄、倉田三郎、箕田源二郎、熊本高工、等が挙げられる。これら4名の追跡調査を行う。方法としては、文献調査と聞き取り調査等をまとめることによるものである。 最終的には、全体の整理をして考察を行い、結論を導き出して行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述したように、「赤津隆助の教育思想形成研究」の「明治時代中期の図画を中心とする学校教育の実態調査」、並びに「赤津に影響を与えた美術教育思想の調査」の進行は遅れている。これらの研究で予定していた文献の入手、とりわけ古書の購入が、研究の遅れに伴いあまりできなかった。これは、主に「物品費」に関わるものであり、次年度、そうした部分に研究費を使用する予定である。また、この部分の研究を進め、本来平成24年度に予定していた予算の執行も行う計画である。 一方、今年度は、師範学校時代のカリキュラムに関する資料の収集がやや十分ではなかった。これは、主に「旅費」に関わる部分での研究費使用に関するものである。北海道教育大学札幌校、広島大学、福岡教育大学、いわき市等への出張に使用する予定である。 「人件費・謝金」については、本年度にテープ起こししたものを、次年度、本研究テーマに合わせて整理・記録の補助のため、などに使用する。 その他、消耗品はパソコンソフト代などとして使用する予定である。
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