2013 Fiscal Year Annual Research Report
地方分権化時代の地域密着型小・中一貫ものづくり科に関する調査研究
Project/Area Number |
23531164
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
坂口 謙一 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (30284425)
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Keywords | 相手意識に立つものづくり科 / 諏訪市 / 小・中一貫 / ものづくり教育 / 技術・職業教育 / キャリア教育 |
Research Abstract |
長野県諏訪市は,平成20年度から,市独自の取り組みとして,市立小・中学校の全校(小7校,中4校)において小・中9年間一貫の特別必修教科「相手意識に立つものづくり科」を開設している(以下「ものづくり科」と略記する)。本研究では,この「ものづくり科」について,平成23~24年度の2年間に,教育課程・教育実践の構造それ自体を概ね調査・分析した。ただし,平成23年度に小学校段階,平成24年度に中学校段階をそれぞれ集中的に調査・分析したので,小・中の9年間を一貫して分析するという観点は弱かった。 このため,最終年度の平成25年度の研究課題は,第1に,「ものづくり科」の構造を,小・中を一貫する普通教育の視点から解明することに設定した。また第2に,平成25年度は最終年度として,この3年間の研究成果を総括することも研究課題に位置づけた。これらのことによる最も基本的な解明点と成果の概要は以下の通りである。 (1)「ものづくり科」は,小・中の9年一貫を志向しているけれども,実際には小学校から中学校への接続が断絶的な関係になりがちであることが明らかとなった。こうした小・中の接続関係の問題は,日本では普通教育の一環として技術教育を担う教科が制度上中学校の技術科のみしか存在しないという日本的事情に由来するところが少なくないと考えられた。 (2)しかし,「ものづくり科」の営みを学力の発達の観点から分析すると,この教科では,あらゆる子どもたちに,自分以外の者が安全・安心に利用できる物品を自らの責任で製作し,手渡すことのできる力量を,小・中を通して段階的に身につけさせることを企図するようになっていることも明らかとなった。 (3)総じて「ものづくり科」は,ユネスコの「技術・職業教育に関する条約」(1989年)等に綱領化された,世界標準としての普通教育としての「技術・職業教育・訓練」に迫るものであると考えられた。
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