2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23531168
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小池 研二 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (90528382)
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Keywords | 国際情報交換 / 国際バカロレア / 美術科教育 / 美術館博物館での教育 |
Research Abstract |
国際バカロレア(以下IB)の中等課程プログラム(以下MYP)美術科カリキュラムを我が国の美術教育に応用する可能性について研究目的通り以下の4点を中心に研究を行うことができた。 ①学習進歩ワークブックの使用状況について22,23年度に引き続き横浜国立大学附属鎌倉中学校での使用実態について継続調査を行った。24年度は7月に全校生徒に対してアンケート調査を行った。ワークブックの活用法について附属鎌倉中学校の公開研究会で議論するなどさらに研究を進めることができた。②美術科以外の教科や他領域を中心とした活動について効果的な活動を実施している美術館、博物館について24年度はシンガポール国立博物館の活動を調査研究することができた。同館ではワークショップ「Puppets Alive」に同行しIBの視点から調査研究することができた。同ワークショップは社会科(Social Studies)、国家の歴史(National History)、Enrichmentの各学習に関連するとしており、学際的な学びを奨励しているIB・MYPの考え方にリンクすることが多々有り、IBの学習の姿勢が学校だけでなく他の教育機関にも通じることが現場で確認できた。③MYPのみでなく、ディプロマ資格課程(DP)及び初等課程(PYP)についても研究を継続、発展することができた。各課程については国内外のIBスクールを訪問し授業参観を実際に行ったり、担当者に直接インタビューを行うなど具体的な調査を行うことができた。各課程にまたがって調査することで、発達段階を重視したIBの学習理念を改めて確認することができた。④IBアジアパシフィックオフィスを訪問し、IBの全体的な考え方について確認した。ホリスティックな学習、多文化理解、世界平和を重視するIBの基本理念を確認し、さらに我が国とIBの関係について最新の考え方を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①学習進歩ワークブックについては本年度は、加藤学園暁秀、横浜インターナショナルスクール、シンガポールUWC South East Asia等の各学校の実態を調査した。今年度の調査でワークブックが生徒にとって創造活動をしていく上で、制作の各段階を記録し思考の整理をするなど重要な役割を果たしていることが改めて確認された。特にシンガポールの各学校では、MYPとDPとの関係やIBではないシステムのワークブック(GCSE)も比較することができた。これによりワークブックを活用した学習方法が決してIBだけの特殊なものでないことが確認できた。附属鎌倉中学校でのワークブックを活用した学習に関しては鎌倉中学校独自の発展した形が出来上がりつつ有り、発展してきている。②美術館博物館での他教科・他領域との連携した授業についてMYPの視点から調査研究することについて、シンガポール国立博物館での調査例から学際的な学びを重視する姿勢が大切であることが確認できた。MYPにおけるインターディスシプリンという考え方を同博物館でも持っていることが確認された。MYPの考え方が博物館でも有効であることがわかった。③美術科を中心とした多文化理解・コミュニケーションを重視した学習の在り方については今年度のPYPの調査でその有効性を確認することができた。PYPでは探究(inquiry)の考え方から学習を行っており、美術が学びをつないだり動機付けしたりするなどの点で重要な位置を占めている。inquiryの考え方はIBの基本的な学習の姿勢であり、美術教育の重要性がIBに見られることが現場調査、インタビュー、文献調査から改めてわかった。また、国際教育を重視して国際的なコミュニケーションを重視して行く姿勢が我が国でも見られることが今年度のインタビューの調査で明らかになり、本研究の意義について確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
①25年度は本研究の最終年度であり、IBの美術教育について全体的なまとめを行う。MYPを中心にIBの全人的な考え方による美術教育の可能性についてまとめ、我が国の美術教育に役立つような方向性を示す。発想構想面を重視した学習は我が国の美術教育でもますます重視され、有効な学習法が必要とされる。このことについてワークブックの活用等IBの視点から考えて行く。DP、MYPのワークブックの在り方についてさらに研究し我が国の授業における有効な活用方法を考える。②国内外の美術館博物館の美術科以外の教科や他領域にまたがった学際的な学習活動についてMYPを中心にしたIBの考え方から調査し事例をまとめていく。美術館、博物館で行われているワークショップなどの活動についてIBの考え方がどの程度有効であるか、調査を続け再検討する。その中で学校以外の教育においてもIBの教育について有効性を考える。③多文化理解、コミュニケーションを大切にした学習についてMYPだけでなく、PYP、DPの面からも調査を続け、小中高の連続性の中でIBの美術教育について考える。そのために、IBスクールについて調査研究を続けまとめる。今年度も今まで通り児童生徒等の人権には十分配慮する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「該当なし」
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