2011 Fiscal Year Research-status Report
国語科学習指導の基本的な知識・技術の具体化・体系化研究
Project/Area Number |
23531169
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
常木 正則 新潟大学, 人文社会・教育科学系, フェロー (90125724)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 国語科学習指導 / 知識・技術 / 具体化・体系化 / 養成・研修 / 伝達・習得 |
Research Abstract |
5つの主な研究内容・方法のうち3つについての研究成果を記す。 1 授業観察に基づいて、国語科学習指導にかかわる知識・技術の項目及びその具体的内容を明らかにし言語化する、について。14の授業観察を行った。しかし、それまでに集積していた以外の新たな知識・技術を見出すことはできなかった。それまでに集積していた知識・技術がほとんど適用されていない実態を再確認する結果となった。 2 一人前レベル、熟達レベルにあるとみなされる教師との議論により、集積済みの知識・技術の妥当性と新たに付け加えるとよい知識・技術を明らかにしていく、について。6人の方にインタビュー調査を行った。議論を通して得られ問題意識の内、ここでは3点取り上げる。(1)自学をさせた後の、挙手・指名・発言の学習指導過程には問題があること。これについては、論考「挙手・指名・発言の学習指導過程は原則やめるべきである」をまとめた。(2)学習指導知識・技術を適用する際の、態度、姿勢、表情が大事であること。態度では機嫌よく、姿勢では場にふさわしい服装を、表情では笑顔で、などのことである。(3)協同学習という学習指導論を知ったこと。協同学習指導論での具体的な学習指導知識・技術を今後探索していく課題を得た。 3 文献・映像資料の調査研究により項目及びその具体的内容を明らかにしていく、について。2点ここでは取り上げる。(1)「ペアになって意見交換Think pair share」という言葉を知ったこと。ペア学習の有益性を再確認した。(2)「教科書の学習」が必要であることを認識したこと。開き癖をつけさせること、教科書の内容はどのようなものが載っていてどのように構成されているか、どのように活用していけばよいのか、など年度当初のみならず年度を通して指導していく必要があること。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
授業(1単位時間)観察14件、インタビュー調査6件、文献の調査研究15件ほど、と当初の計画どおり実施できた。 ただし、研究の成果は十分ではない。授業観察、インタビュー調査、文献の調査研究において、具体的な言語化された知識・技術に巡り合えることは少なかったからである。これは当初から予測していたことではある。 しかし、得られた知見は少なかったが、本研究内容・方法の意義・価値を改めて確認することができた。どういうことかと言えば、基本的な国語科学習指導の知識・技術の具体化・言語化とその体系化が現況では不十分であるということである。これでは、国語科教師養成・研修の目標・内容・方法の適確な計画の立案と実施は期待できない。今後も引き続き、知識・技術の具体化・言語化とその体系化研究の必要性を認識できたことから、研究はおおむね順調に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、以下の3点から知識・技術の収集を行う。(1)授業観察による知識・技術の収集。これについては、できるだけ多くの授業観察を行うとともに、研究目的に寄与するであろう公開授業の情報を求め観察する。(2)インタビュー調査による知識・技術の収集。これについては、現在3人の方が候補に挙がっているが、さらに4名ほどの方に行う予定である。(3)文献・映像資料の調査研究による知識・技術の収集。これについては、継続的に資料収集を行い知識・技術の摘出を行う。現在各地の地方自治体(教育センター)で授業力、授業技術に関する研究が盛んに行われている。そこからの資料の収集を行い、分析・考察する。 収集した知識・技術は、具体化・言語化しその体系化を図る。 次年度に使用する予定の研究費、3,317円は、その金額に見合った物品等の購入の必要性がなかったため生じたものである。次年度の物品等の購入費に充てる予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費: 68,317円(内訳:資料購入費等)旅 費:130,000円(内訳:授業観察、インタビュー調査に伴う旅費及び関係学会参加旅費)謝 金:105,000円(内訳:インタビュー調査謝金)
|
Research Products
(1 results)