2012 Fiscal Year Research-status Report
国語科学習指導の基本的な知識・技術の具体化・体系化研究
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23531169
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
常木 正則 新潟大学, 人文社会・教育科学系, フェロー (90125724)
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Keywords | 国語科学習指導 / 知識・技術 / 具体化・体系化 / 養成・研修 / 伝達・習得 |
Research Abstract |
5つの主な研究内容・方法の内2つについての研究成果を記す。 その1、授業観察に基づいて、国語科学習指導にかかわる知識・技術の項目及びその具体的内容を明らかにし言語化する、について。8つの授業観察を行った。いずれの授業においても、それまでに集積していた以外の新たな知識・技術を見出すことはできなかった。しかし、その内の2つの授業において、筆者が明らかにしている知識・技術が適用されている実際を観察した。その授業では、話す人聞く人が対面する形態で話し合いをさせている、適切な言語活動をさせているなど、好ましい学習活動を観ることができた。 その2、一人前レベル、熟達レベルにあるとみなされる教師との議論により、集積済みの知識・技術の妥当性と新たに付け加えるとよい知識・技術を明らかにしていく、について。1人の方にインタビュー調査を行った。この方とは10年以上の研究交流があることもあって、学習指導の基本的な知識・技術については共感し合っている。この時の論題に、現今一部の指導者が提言している「文章の要約の方法」と学習指導要領の「読むこと」の目標「目的に応じ、・・・」について取り上げ議論した。いずれも納得できる提言・目標とは言えないということで一致した。学習の方法・目標の適切性を抜きにしては、学習指導の基本的な知識・技術を適用しても学習指導の効果は期待できなことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
授業観察、インタビュー調査、文献研究を継続的に行ってきた。これらの調査研究により新たな知識・技術を見出すことはできなかった。しかし、以下に述べる2つのことから研究はおおむね順調に進展していると評価した。 その1は、筆者と同様の知識・技術を提言している例に出会ったことである(例えば、『読本達人に学ぶ授業力』(千葉教育センター)に見る「集団の学び」にかかわる知識・技術)。同じ提言に接し意を強くすることができた。 その2は、今年度の授業観察おいて、2つの授業で学習指導の基本的な知識・技術が適用されている実際を観ることができたことである。基本的な知識・技術が適用されている授業は、「締まる」のである。学習活動に「たるみ」や「だらけ」が生じないのである。学習指導の基本的な知識・技術の有用性・有効性を授業の実際により再確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
授業観察、インタビュー調査、文献研究は引き続き行う。しかし、これまでの研究経過から数多くの新たな知識・技術の獲得は期待できない。そこで、これまでに獲得・集積してきた知識・技術の精査と体系化を図り冊子等にまとめる。それにより、学習指導の基本的な知識・技術は何であるのかをより鮮明にし、知識・技術の理解をより容易にする。 次年度に使用する予定の研究費156,749円は、インタビュー調査が1件であったことと物品等の購入の必要性がなかったために生じたものである。次年度研究のまとめである冊子等の作成費等に充てる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費160,066円は、インタビュー調査が1件であったことと物品等の購入の必要性がなかったために生じたものである。次年度研究でまとめる冊子等の作成費に充てる予定である。 次年度の研究費の使用計画 660,066円 物品費:430,066円(内訳:資料購入費、冊子作成費等) 旅 費:130,000円(内訳:授業観察、インタビュー調査旅費及び学会等参加旅費) 謝 金:100,000円(内訳:インタビュー調査謝金)
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