2012 Fiscal Year Research-status Report
国際標準を反映した教員用読書力評価パッケージの開発
Project/Area Number |
23531171
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
足立 幸子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30302285)
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Keywords | 読書力 / 評価 / リテラチャー・サークル / パートナー読書 / アニマシオン / 国際情報交流 / 国語教育 / 学校図書館 |
Research Abstract |
本研究では、諸外国で通用している読書力評価を参考にし、日本において小・中学校教員(学級担任・教科担任)が使用することのできる読書力評価パッケージを開発する。読書力評価パッケージとは、テストの携帯による評価と、読書指導場面において読書力評価をどのように行っていくかを示した「読書評価キット」から構成される。そのために次の2点を明らかにする。1.読書のミクロ・レベル・テストを開発し、小・中学校において、そのテストを用いた読書力評価を行う。テストの有効性を明らかにする。2.交流を生かした読書指導実践の実施時における児童・生徒の表れを質的分析手法で分析することで評価することによる、教員用のガイド(マニュアル)と評価基準として表現した「読書評価キット」を作成し、その有効性を検証する。交流を生かした読書指導法とは、具体的には、「読書へのアニマシオン」「リテラチャー・サークル」「パートナー読書」を考えている。 平成24年度は、次のことを行った。 1.ミクロ・レベル・テストの開発に関しては、a) 欧米で行われている読書のミクロ・レベル・テストのいくつかについて、分析して研究論文を執筆した。b) 小・中学校におけるテストは、一部試行を行った。 2.質的分析に関しては、a) 「読書へのアニマシオン」について、教材カードの開発を進め、学校現場で実施した。b) リテラチャー・サークルの実験的授業や教員研修を行った。自然な読書である「初読」という行為に焦点をあてて、生徒の交流内容を分析した。c) パートナー読書という2人組の交流を核にした読書指導方法を開発し、手紙の交流と話し合いの交流を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.ミクロ・レベル・テストについて。a) 欧米で行われている読書のミクロ・レベル・テストについて、枠組みを提示し、4つを取り上げて研究論文を執筆し終えた。 b) 試行を行ったが、より多くのサンプルが必要であることが明らかになったため、引き続きテストの作成を行っていく。 2.読書指導時の質的分析について。a) 「読書へのアニマシオン」については、教師(アニマドール)が「読書へのアニマシオン」を実施する前や実施した後に授業評価を記入できる記録シートを、アニマシオンを実施しているボランティア団体とともに開発した。この記録シートの有効性の検証や改善については、今後の課題である。b) リテラチャー・サークルの実験的実践を行い、その際に使用したワークシートや、話し合いの内容を使用して、読書力評価ができることについての見通しは得られたが、この知見については、まだ研究論文は書けていない。この知見について、論文を執筆していく予定である。c) パートナー読書については、手紙による交流について、粗い第一次分析を行った。さらに、読書能力・作文能力を含めた精緻な第二次分析を行っていく。d) パートナー読書について、話し合いの実験的実践を行い、ワークシートの記入と話し合い録音のデータを得た。ワークシートに児童・生徒が記入していることが、パートナー読書中の話し合いをどれくらい反映しているか分析を行っている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ミクロ・レベル・テストについては、さらに、様々なジャンルや学年のテストの開発を行い、学校現場で実施する。 2.読書指導時の質的分析については、a) 「読書へのアニマシオン」については、引き続き授業評価の記録シートの改善を行う。b) 「リテラチャー・サークル」については、初読の過程を生かした読書指導として、評価の方法を確立して、その知見を論文化する。c) パートナー読書については、実験授業で得られた手紙における交流データと話し合いの交流データを引き続き分析し、交流の評価観点を設定する。d) さらに、「交流型読み聞かせ」の研究を進めている。学会発表などを行い、「交流型読み聞かせ」の質的分析を読書評価キットに入れるかどうかについて、結論を出す予定である。 3.以上を踏まえて、読書力評価パッケージを作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ミクロ・レベル・テストの作成のため、図書やその他の読書素材を購入に物品費を当てる。 学校現場でのミクロ・レベル・テスト及び読書指導実践を行うため、国内交通旅費を使用する。 引き続き、国内外の学会活動でこれらの研究経過・研究成果を報告するため、海外交通旅費及び国内交通旅費を使用する。 ミクロ・レベル・テストの結果の整理や、読書指導実践のデータ整理、及びパッケージ化における様々な事務作業が生じるため、人件費・謝金を用いる。
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