2012 Fiscal Year Research-status Report
地歴科世界史における問題探究型学習モデルの開発とワークショップ活用に関する研究
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23531174
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
田尻 信一 共立女子大学, 家政学部, 教授 (10436800)
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Keywords | 各教科の教育(地理・歴史) / 地歴科世界史 / 問題探究型学習モデルの開発 / ワークショップの活用 |
Research Abstract |
1.研究調査活動:西洋史学会(2012年5月19・20日、明治大学)、日本国際理解教育学会(2012年7月15・16日、埼玉大学)、全国歴史研究会(2012年8月1・2日、早稲田大学)、全国社会科教育学会(2012年10月20・21日、岐阜大学)の全国研究大会に参加し、地歴科教育・歴史学に関わる研究報告の資料を収集し、情報交換を行った。 2.研究成果:学会報告:日本社会科教育学会全国研究大会(2012年9月30日、東京学芸大学)で、研究発表「黒死病と14世紀の世界 世界史B『空間軸からみる諸地域世界』の単元構想」を行う。日本地理教育学会シンポジウム(2012年10月13日、日本女子大学)で、研究発表「新学習指導要領世界史の『内容』にみる「地理との関連付け』」を行う。研究論文:『中等教育資料』2012年4月、7月に「新学習指導要領世界史の実施にむけて」(12)、同(13)を連載し、世界史の特徴や授業方法を解説し、思考力・判断力・表現力の育成を図るための指導方法について明らかにした。著書:(単著)田尻信壹『探究的世界史学習の創造』(梓出版社、2013年3月)、(編著)福井憲彦・田尻信壹『歴史的思考力を伸ばす世界史授業デザイン』(明治図書、2012年8月)を刊行し、探究的世界史学習の指導法についての体系化を行った。 3.教師・教職を目指す学生への指導:国立民族学博物館主催の「博学連携教職員ワークショップ」(2012年8月6・7日、国立民族学博物館、約100名)のワークショップ講師を務めた。長野県総合教育センターの教員研修講座「これからの歴史教育」(2012年8月30日、長野県総合教育センター、約30名)の講師を務め、現職教員を指導した。学生を対象とした博物館活用のワークショップを開催した(2012年11月18日、JICA海外移住資料館、約40名)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、2013年度から実施される新教育課程での地歴科世界史A、Bの実施を念頭においた「問題探究型学習モデル」開発と、教師・教職を目指す学生を対象としたワークショップ型研究会の実施の、2点を柱としている。本研究の2年度の達成度について、以下の2点に整理して報告する。 1.新教育課程の地歴科世界史A、B施行に向けての「問題探究型学習モデル」の開発:新学習指導要領の趣旨や教材化の視点について整理し、その成果を『中等教育資料』に連載した。地歴科世界史Bのにおける「問題探究型学習モデル」として、「単元『黒死病と14世紀の世界』の開発」・「地理との関連付けを目指した単元」を開発し、日本社会科教育学会、日本地理教育学会シンポジウムで発表した。単著『探究的世界史学習の創造』(梓出版社、全199頁)を刊行し、「問題探究型学習モデル」を公開し、普及を図った。 2.教師・教職を目指す学生を対象としたワークショップの実施:国立民族学博物館主催の「博学連携教職員ワークショップ」(2012年8月6・7日、国立民族学博物館、約100名)のワークショップ講師を務めた。長野県総合教育センターの教員研修講座「これからの歴史教育」(2012年8月30日、長野県総合教育センター、約30名)の講師を務め、現職教員を指導した。・学生を対象とした博物館活用のワークショップを開催した(2012年11月18日、JICA海外移住資料館、約40名)。問題探究型学習モデル」の理論化と単元開発が出来たことは収穫であった。また、大阪府、長野県塩尻市、神奈川県横浜市などの地域でワークショップを指導しノウハウを蓄積するとともに、実施に向けての課題についても認識できた。 第2年度は日程の都合で海外調査ができなかった。次年度には海外調査を実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、過去2年間の研究成果を土台にして以下の研究を推進る。 1.『問題探究型学習」に関する文献研究・事例研究の整理:「問題探究型学習」に関する文献研究・事例研究のまとめとして、Sam Wineburg,Daisy Martin,ChauceyMonte-ANO(2011)Reading Like a Historian, Columbia University掲載の世界史学習単元や、CHSが開発した世界史授業単元を集めた World History for Us All を分析する。米国の高校世界史授業として、Reading Like a Historian 掲載の単元を扱った授業を中心に調査し、ビデオ等で記録する。また、日本での探究的授業の取り組み状況を調査し、授業を参観しビデオで記録して分析する。日米の歴史授業について比較し、ワークショップでの教材とする。 2.海外の「問題解決学習」動向の把握:米国カリフォルニア社会科協議会(CCSSと略称)の年次大会(2016年3月予定)に参加し、米国の歴史授業を中心にその動向を調査し、米国における「問題探究型学習」の研究動向を整理する。 3.新教育課程の歴史学習の動向の把握:新教育課程でその推進が期待されている「探究型学習」に関する授業の状況や教員の意識を探るために教員対象のインタビューやアンケートを実施するとともに、新教育課程の歴史授業を参観してビデオに記録する。 4.「問題探究型学習」モデル開発とワークショップの実施:上記の1,2,3で得られた成果をもとに、「問題探究型学習」モデルの開発と調査結果の整理を行い、社会科教育系学会の研究大会で発表したり、紀要に投稿したりする。また、教員研究会やワークショップを企画し、開発した地歴科世界史の単元を公開し、その成果の周知に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度(2013)年度の研究費として、2013年度請求額600,000円と、前年度未使用額740,115円の合計額である、1,340,115円を計上する。次年度研究費の使用計画を以下に示す。 経費の項目別内訳は、物品費400,000円、旅費500,000円、人件費・謝金100,000円、その他340,115円である。 経費の主な支出項目は、次の通りである。物品費の主な支出内容は、世界史研究・歴史教育関係関係図書、新教育課程用地歴科世界史教科書、ノートパソコン、タブレット型パソコン、プリンター、ビデオデッキ等である。旅費の主な支出内容は、国外出張(AHA,CCSS[いずれも米国の学会]への参加と情報交換、海外の歴史授業の調査)、国内出張(新教育課程に基づく歴史授業や先進的歴史授業の参観とビデオでの記録化のための学校訪問、日本社会科教育学会、全国社会科教育学会、中等社会科教育学会等の参加と研究発表等、都道県規模の社会科、地歴科の教員研究会・教員研修会の参加と指導等)のための経費である。人件費・謝金の主な支出内容は、質問紙調査や現地調査活動に係わるアルバイト代、調査協力者への謝金等である。その他の主な支出内容は、プリンターインク、印刷費(抜き刷りを含む)、用紙、文具、調査等に関わる雑費、通信・輸送費、資料・文献等の翻訳費である。
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