2011 Fiscal Year Research-status Report
<エチュード(練習曲)>を用いた声楽教育モデルの開発
Project/Area Number |
23531177
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
片野 耕喜 山梨大学, 教育人間科学部, 准教授 (60314548)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 ドイツ / 声楽学習モデル / 声楽教育の歴史 |
Research Abstract |
主に18-19 世紀ヨーロッパ の多くの声楽練習曲を調査し、その編纂者の教育・音楽活動を観察して、その練習曲のもつ意図と目指すものを明らかにすることを試みた。今年度はその研究の基礎となる重要な資料の収集を行い、国内外の研究協力者との議論を通じ、声楽の練習曲の生まれた歴史的・社会的背景について推論をすすめ、正しく解釈されているかどうかを研究してきた。その中で日本ではとくに重要な教材である「コンコーネ」に多くの時間を割いた。 「コールユーブンゲン」のようにすでにソルフェージュ訓練の基礎教材として評価が固まっているものも、はたしてそれが正しい解釈のもとに使用されているかどうかを再検討し、どのような経緯で日本に輸入されて今日に至ったのかを研究中である。 資料収集と理論的考察に平行して、実践面での現状の把握・問題点の洗い出しなどをすすめ、東京、横浜、長野などに在住の数人の研究協力者と研究課題について意見交換を行った。具体的には外部講師をお呼びして、「姿勢」「発声」さらには「様式」「表現」について研修会を行った。 声楽学習者にとって、初めのうちは適切な「発声練習」および「練習曲」を繰り返し与えることが、舞台での安心感にもつながり有効であることが学習者・観察者の両面から確認できた。その際には与えた練習音型や練習曲が学習者のどこに作用するのかを、よく説明し、その意義を確認することが学習効率をより高めることを確認した。このような研究を通じて、学習初期においての教育方法開発のきっかけを得つつある段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災の影響で夏場の教室使用に制限があり、実践面での計画とその検証がやや不十分であるが、次年度はそこに重点を置いて挽回できる予定である。 一方、資料収集や分析、国内の研究者との意見交換は順調に進み、大きな発見や新しい角度からの視点にも気付いた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画表に記したように、次年度は国内外での教育機関の訪問と観察、分析が中心になる。予定では国内の数カ所の大学、音楽の専門機関、ヨーロッパとアメリカの大学を訪れる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資料の収集と整理のための人件費に支弁する予定であったものを節約したため2万円程度の繰り越しを生じた。今年度に収集した資料の分析の過程で、さらに必要な楽譜や文献がいくつか必要になったため、そちらの購入に充てる予定である。 次年度は当初の計画通り、海外への渡航・滞在と研究などに多くを使用する予定である。物品費を用いて、発声訓練の状況などの映像記録を残すほか、その音声を処理して、取り組んだ課題の成果などを分析する。
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