2012 Fiscal Year Research-status Report
<エチュード(練習曲)>を用いた声楽教育モデルの開発
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23531177
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
片野 耕喜 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60314548)
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Keywords | 国際情報交換 ドイツ連邦共和国 / 国際情報交換 フランス共和国 / 国際情報交換 スイス連邦 / 国際情報交換 アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
23年度にまとめた「声楽練習曲」についての成立過程や歴史、教育上の留意点などを元に、作曲者の意図が十分に反映されているかどうかや、また日本においてそれらが正しく理解されているかどうかを分析することにより、この研究の課題をより具体的に浮き彫りにすることを進めてきた。 昨年度に引き続き,研究協力者を訪ねて実際の練習曲の扱いについてディスカッションをしたり,講師を招いて講習会を行い、練習曲を用いた発声を取り入れた場合の、学生の歌唱に与える影響を引き続き観察してきた。このことによりなお一層私の仮説「初級から中級の学習者には練習曲はきわめて有効であるが,ただし指導する側の的確な提示が不可欠」という考えが裏付けられてきている。 特に現在日本のあらゆる地域や高等教育機関で教材として用いられている「Conconeコンコーネ」は,私たちが思う以上に,歌唱の基礎を学ぶにはたいへん優れたものであるという各方面からの同意を得た。たとえばその歌唱的旋律線,跳躍,強弱,調の多様さと転調の可能性,伴奏形との関わり,さまざまなリズムとテンポといった数多くの要素を「気持ちよく歌いながら」学ぶことができるという点において,コンコーネの役割の重要性は他の練習曲のなかで比類のない価値を持っていると思われる。 しかし19世紀当時の歌唱教育についてはいまだ不明な点が多い。それは現代のような大学での開かれた,カリキュラムに従った学級授業ではなく,教師と学習者が一対一で「閉じられた環境」で習っていたためである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンコーネやコールユーブンゲンといった著名なものや,その他の練習曲の楽譜を取り揃えたほか,協力研究者らとの情報交換や,私と同様な職に就いている教育者とのディスカッションから,研究の目的に近づくことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度であるため,現在まで集めた資料を系統的に整理して,その特徴や有意な点,問題点などをまとめる。 各協力研究者からの意見や提言をまとめ,声楽学習者への有効な練習曲の授与方法と指導方法についてひとつのモデルを示す。 ヨーロッパ以外の練習曲の実用状況を調査するためアメリカ合衆国に研修に赴く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に3千円強の予算が残ったが,まとまった金額での文献等を購入した端数である。今年度の予算に合わせて,旅費などに加えて消化する予定である。
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Research Products
(4 results)