2013 Fiscal Year Annual Research Report
<エチュード(練習曲)>を用いた声楽教育モデルの開発
Project/Area Number |
23531177
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
片野 耕喜 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60314548)
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Keywords | 音楽教育 / 声楽教育 / 発声訓練 / 機能的発声技術 / 発音 / 演奏様式 |
Research Abstract |
声楽の教授に長年携わってきて,発声練習と曲の仕上げを繋ぐ段階のレッスンに苦心してきた。一音・一瞬の声が出てくるようになると,パッセージや発音の問題を飛び越えてすぐに曲を歌いたくなり,自己流の表現をつけたくなるのは誰にも共通することではある。そのモチベーションそのものはけっして否定されるものではないが,多くの名曲では確かな技術に支えられてのみ表現可能な箇所がたくさんある。では,時につらくて単調な発声の訓練の後に,どのような課題を与えるべきかということが本研究の概要であった。 そしてそのためには「曲」ではあるが,ある目的を追求した「練習」になる「練習曲」のジャンルを研究し,教育に活かすという研究を進めた。そしてバロック時代から初期ロマン派,そして現代に至るまでのさまざまな練習曲にあたり,それらの作曲者がどのような目的で,何を目指して練習曲を書いたのかを研究し,具体的にどの作品が有効で,多くの示唆に富んでいるかを分析した。 その結果,ひとつには,日本では「ソルフェージュ」の教材として認識されていることが多く,大学入試の課題にもなっているConconeコンコーネの再評価をすべきことが明らかになり,ただ声楽発声的な観点からのみならず,伴奏の多様性と転調の豊かさといったことによっても,声楽学習者に本質的に重要な要素をたくさん含んでいることを再確認した。 またVaccaJヴァッカイは表題に詩的な表現指示と歌詞がついた練習曲を発表しており,独特な効果が期待されると感じた。 これらの練習曲を組み合わせて,学習者の習熟度に応じてどのような練習曲を与えていくべきかを,いくつかのモデルにした。
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Research Products
(4 results)