2012 Fiscal Year Research-status Report
説明スキーマの発達に基づく義務教育期国語科説明文教材の系統化に関する研究
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23531178
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
岩永 正史 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00223412)
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Keywords | 説明スキーマ / 国語科教育 / 説明文教材 / 教材開発 / 読みの指導 / 読みの能力の発達 |
Research Abstract |
今年度の研究実績を研究の二つの柱とその成果に基づく社会貢献に分けて記す。 説明スキーマの実態調査については、前年度に残った課題のうち、大学生を対象にした調査に取り組み、2回の調査を実施した。前回までの調査で、大学生の説明スキーマを構成する部分のうち、説明の開始部と説明の終末部については、ほぼ、その構成要素が明らかになっていたが、解明・解説部の方略については、「時間順方略」があることしかつかめていなかった。今年度の調査により、小中学生の説明スキーマの発達状況を測るためのスケールが、より精密なものになった。 教科書説明文教材の分析については、平成23年度版小学校教科書の分析に取り組み、現在使用中の検定教科書(光村図書、教育出版、東京書籍、学校図書、三省堂)五社の分析を終えた。ただし、これについては、教材数が多いため、分析の観点とその解釈に「ゆれ」がないかどうか、これまでの岩永の研究(岩永2007、岩永2009)とも比較しながら、再度検討することが必要である。すでに、順次再検討に取り組んでおり、学校図書教科書の分析については、2013年度(2013年5月)の学会で発表予定である。他社の教科書の分析結果についても、学会発表、論文執筆などの形で順次公表していく。 また、上記の研究の進捗と平行して、研究の成果に基づき社会貢献している。一つは、研究代表者・岩永が編集委員となっている検定教科書の教材開発に生かしていることである。平成27年度版教科書の編集にあたり、小学校1、4、6年生の教材を新たに作成した。また、研究結果を資料として、2012年8月に開催された児童言語研究会夏季アカデミーにおいてシンポジストを務めた。また、山梨県のほか、長崎県平戸市、松浦市で小学校教員を対象に講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の二つの柱(学習者の説明スキーマの発達解明、教科書説明文における説明行為の分析)について、いずれも研究が進んでおり、それを社会貢献に生かすこともできている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に則り、次のように研究を進める。 1 中学校説明・論説文教材の分析を行う。 2 児童・生徒の説明スキーマの発達に関する調査を行う。 3 これまでの研究をもとに義務教育期の説明・論説文教材の系統を明らかにする。 4 研究成果を学会などで発表するとともに研究報告書を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
児童・生徒の説明スキーマの発達に関する調査が行えなかったため、紙類・文具・印刷費などにかかる余剰金が出た。この金額は、次年度に行う予定の調査で使用する。
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