2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23531185
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
佐々木 徹郎 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20170681)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 算数・数学的活動の段階論 / 数式の指導 / 意味の連鎖 / 問題設定 / 参照的活動 / 一般的活動 / 形式的活動 / アクティブ・ラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,本研究の最終年であり,これまでの研究成果を総括し,それらが授業実践や教師教育に活かせることを例証した。さらに,平成26年9月18日に,本研究の成果を取り入れてまとめた学位論文『数学教育における教室文化の文化化に関する研究』によって博士の学位を取得することができた。 算数・数学的活動は,算数・数学科において,今日話題となっているアクティブ・ラーニングそのものである。本研究では,算数・数学教育において中心である「式の指導」において,算数・数学的活動の段階論が有効であることを例証した。例えば,小学校2学年「数量関係」で学習する「加法と減法の相互関係」では,「はじめにリンゴが幾つかあって,その中から5個食べたら7個残った。はじめに幾つあったか」を指導する。この解決過程では,児童がこの問題をモデル化する参照的活動が重要である。つまり,この問題状況を記号化する活動である。それぞれの児童の活動を表現様式でとらえる必要がある。それには,「意味の連鎖」の理論が有用である。 これらの理論や実践は,中学校や高等学校での数学学習でも有効であり,数学的活動やアクティブ・ラーニングの実践に活用できることを例証した。例えば,「6本の紐を二つずつ結んだときに,一つの輪になる確率を求めよ」という問題の解決過程を分析した。この問題では,紐の操作を記号化し,数式へと抽象化する活動が重要になる。このとき,意味の連鎖の観点から表現様式の抽象化過程を想定して指導することが有効である。高等学校の数学では,このような式を導く指導が重要になる。 学位論文『数学教育における教室文化の文化化に関する研究』では,ソシュールの言語学から,数学教育における記号論を考察し,教室文化の記号論的文化化の考察について,本研究成果をまとめた。そして,算数・数学的活動の段階論による式の指導についての事例を取り上げて分析した。
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Research Products
(2 results)