2012 Fiscal Year Research-status Report
フランスの初等教員の音楽能力の基準とIUFMにおける音楽教育の実態調査
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23531186
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
吉澤 恭子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (40594354)
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Keywords | フランス / 初等教員 / 音楽能力 / IUFM / 教員養成 / 教員採用試験 / 文化芸術政策 |
Research Abstract |
本年度は、フランスの初等教員の音楽能力に関する資料研究、そしてパリ・アカデミーのIUFMにおける音楽教育に関する講義・演習および課外活動等の視察調査を行い、以下4事項について調査・研究に取り組んだ。 (1)近年公表された『初等教員採用試験報告書』を基に、受検者の音楽科目の選択率の実状について、そして音楽実技試験の実態を把握するとともに初等教員に望まれる音楽能力の一端を明らかにした。音楽科目の選択率は全体の1~2割台と低く、受検者の多くが音楽を専門としていない。この事実を前提とした上で実技試験では、柔軟な選曲により受検者の教員としての将来性(音楽能力・資質・適性等)を多面的に審査している方針が窺えた。(2)近年公表された『初等教員採用試験報告書』を手がかりに、音楽試験制度運営の実状に迫るべく試験審査に関与したリモージュ・アカデミーの視学官と音楽教育顧問、そしてパリ・アカデミーの視学官とのインタヴューを実施した。この成果報告は、来年度に発表を行う予定である。(3)平成25年度から新たに日本の教員養成に導入される教職実践演習に相当する授業「教職実践演習(APP)」を視察する機会に恵まれ、口頭による研究発表においてその運営方法等について提示した。(4)IUFMの教員養成のための授業の一環として、フランスの文化芸術政策と関連づけられる教育活動を参観する機会が得られた。音楽教育のカリキュラムとその運営方法等について、口頭による研究発表で提示した。現地調査のおかげで学校教育・文化芸術政策・教員養成をめぐる研究の視点が拡大したことにより、その視点に関連づけられる基礎研究を遂行する必要性が感じられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料研究に関しては予定通りに進んでいる。現地調査に関しては前年度同様、パリ・アカデミーのIUFM (Batignolles校)における初等教員養成および中等教員養成のための音楽教育の授業、そして生涯学習と連関する音楽課外活動まで幅広く視察する機会が得られた。前年度とは異なった教育内容と視点を扱う授業を視察することができ、実りある調査が実現できたと思われる。なお本研究を遂行するにあたり当初の研究計画書で示し、予定していた「教育実習」に関する調査は、教育機関の事情により視察許可は得られることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、アカデミーが公開する『初等教員採用試験報告書』の分析・考察にフランス教育省初等教員採用試験担当者とのインタヴューが実現できたことからその内容を加え、国家試験である初等教員採用試験「音楽」の運営方針および初等教員に求められる音楽能力に関する考察を深める。またパリ・アカデミーのIUFMにおける音楽教育関連授業等の視察調査を継続的に行い、カリキュラム構造と教員養成としての音楽教育の特徴を整理し、明らかにしていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費全体額の3割程度をパリ・アカデミーのIUFM で開講されている初等教員養成のための音楽教育と関連づけられる書籍・教具(教材・視聴覚教材・楽器等)の購入経費および研究成果報告書作成経費等に充てる。残りの7割程度は研究成果報告活動および現地調査の充実化(年度内2回実施を予定)を図るための経費に充てる。 なお次年度使用額に関して、平成24年度に予定していた論文の別刷経費等に残額が生じたため繰越金が生じた。
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Research Products
(4 results)