2011 Fiscal Year Research-status Report
小学生の言語活動を充実させるアーギュメント・スキル育成に向けた理科授業デザイン
Project/Area Number |
23531190
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坂本 美紀 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (90293729)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 成哲 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70176387)
山口 悦司 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (00324898)
西垣 順子 大阪市立大学, 付置研究所, 准教授 (80345769)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | アーギュメント / ライティング / アーギュメンテーション / 小学生 / 理科教育 |
Research Abstract |
(a)文献・資料の収集:科学教育や教育心理学及び関連領域の学術論文と関連図書を収集し,授業のデザイン指針とスキルの評価枠組みを中心に整理した。レビュー結果を元に,アーギュメント・スキル育成のデザイン指針と評価課題,評価枠組みを策定した。また,思考力についての先導的な実践を行っている米国の実践現場を訪問し,関係者へのインタビューを通して,実践事例に関する資料を収集した。(b)評価枠組みと分析フレームワークの策定:ライティング(記述)の評価課題として,既習の科学的内容についての観察・実験データを示し,科学的な説明としてのアーギュメントを記述させる課題を策定した.アーギュメントの評価枠組みは,科学的原理を用いて主張と証拠を結びつけたものを取り上げ,評価ルーブリックを作成した。策定した評価課題および評価ルーブリックの一般性を検証するため,小学校5-6年生を対象に,調査を実施した。分析の中で評価ルーブリックを精緻化し,完成させた。(c)単元開発・実験授業実施:小学校5年生理科「振り子の運動」および「溶解」において単元開発を行い,実験授業を実施した.授業の中で,アーギュメントの基本枠組みとその利点について教授した上で,「主張-証拠-理由づけ」からなるアーギュメントの構造を明示した訓練を複数回実施した。教師からのフィードバックおよび児童同士の相互評価を通して,記述の改善に取り組ませた。学習活動の詳細は,(a)で策定したデザイン指針により決定した。(b)で作成したアーギュメント評価課題を,単元の前後ならびに遅延ポストテストとして実施し,スキル育成の成果評価を行った。(d)中間成果公表:日本理科教育学会全国大会,同近畿支部大会において,策定したデザイン指針に基づいて開発した単元の内容,および小学校高学年におけるアーギュメント・スキルの実態を,中間的な成果として発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題に関する文献・資料の収集,評価枠組みと分析フレームワークの策定,単元開発と実験授業の実施,中間成果公表のいずれの側面においても,当初の計画通り,順調に進行している.
|
Strategy for Future Research Activity |
スキル育成を目指した理科授業のフォローアップ授業と遅延ポストテストにおける学習者のアーギュメントを分析して,スキルの定着を評価する。小学校高学年におけるアーギュメント・スキルの実態について,追加の分析を行い,国際会議で発表する。小学校高学年におけるアーギュメントの実態に即して,アーギュメント・スキルの評価枠組み,および,スキル育成を目指した授業のデザイン指針についてのレビューの成果を,学術論文にまとめる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)設備備品:分析用コンピュータ,研究関連図書を計画している。(2)消耗品:データ分析用の統計用ソフトウェア,授業やインタビュー調査を記録するビデオカメラやメディア類,授業のデジタル記録をはじめとする研究データのバックアップ用のHD等のほか,研究成果の公表のために別刷り費用を計画している。(3)旅費:成果発表旅費,調査・研究旅費,研究打合せ旅費を計画している。(4)謝金:データの入力,整理をはじめとする研究補助,外国語文献の校閲,専門的知識の提供を計画している。(5)その他:国際会議参加費,印刷費,研究成果投稿料を計画している。
|
Research Products
(2 results)