2012 Fiscal Year Research-status Report
数学的活動を取り入れた高大連携数学教材の開発と教員養成
Project/Area Number |
23531192
|
Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
濱中 裕明 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (20294267)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 久恵 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (00314518)
|
Keywords | 数学的活動 / 構造指向 |
Research Abstract |
昨年度は高大連携の在り方に力点をおいたが、本年度は高校における数学的活動の意義や内容について考察を進めた。 広く知られているように、現在の算数・数学に係る学習指導要領では、算数・数学的活動はひとつの重要キーワードであり、特に高校では数学的活動を重視した内容として「課題学習」を「数学I」、「数学A」で必ず行うとこととされていて、教育現場ではこれへの対応を迫られている。 実際に行われている数学的活動や従来行われている研究内容を見ると、数学的活動を現実的な事象への活用の場として捉える見方が強いように感じられる。ヴィットマンは、「「応用指向」と「構造指向」の2つの相補的側面をもつ「パターンの科学」として数学をとらえる」と述べており、両側面のバランスの重要性を述べているが、確かにこれまで応用指向的な数学の方法への注力が十分でなかったことは否めないし、この点に数学的活動を積極的に用いていくことも大いに意味があると思う。しかし一方で、ヴィットマンの述べるように、構造指向の数学もまた応用指向の数学と同等に強調されなければならない。そして、バランスを保つための構造指向の強調とは、単に従来の構造指向型授業をもっと推し進めるということではないはずである。本年度の研究では、数学的活動を構造指向の数学的文脈のなかで用い、その中で、単なる活動としての楽しさではなく、また、数学の有用性に訴えるのでもなく、そこから数学的な考察活動そのものの楽しさを味わうことを重視した授業の開発を目指した。特に、そのような授業における数学的活動を「構造指向の数学的活動」として捉え、その活動の枠組み=サイクルモデルを構築し、そのモデルに沿った教材例を開発した。さらに、そのような教材例を用いた実践を通して、教材開発の意図に沿った反応・効果がみられるか、を検証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初の目的どおり、生徒の学習に対する内発的動機付けを高めつつ、「数学的な面白さ」を兼ね備えた、数学の体系上でも意義のある題材開発を、理論的にも実践的にも進めており、おおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
高校における構造指向の数学的活動として、これまで多面体に関する教材を開発してきたが、数学的活動に関わる、より多様な教材を開発していく予定である。また、高校でのカリキュラムと大学以後の数学の体系とを俯瞰し、高大接続のギャップについても考察したい。さらに、これまで考察してきた教材開発の視点をもとに、そのような教材開発ができる人材の育成、つまり教員養成にも還元することを目指したい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度の研究費のうち、次年度使用額として5万円程度を25年度で使用することになっているが、これは、24年度末に研究打ち合わせを行い、その予算執行が3月末までに間に合わなかったためであり、実際に未使用の繰り越し額があるわけではない。なお、25年度は、これまでの考察した理論をもとに、題材開発が中心となるが、そのなかで教具の開発経費も予算として必要になることも予想している。
|
Research Products
(3 results)