2012 Fiscal Year Research-status Report
ビジュアル・ツールを活用した創作文指導の開発的研究
Project/Area Number |
23531204
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山本 茂喜 香川大学, 教育学部, 教授 (00182626)
|
Keywords | ビジュアル・ツール / 創作文 / ストーリーマップ / 物語論 |
Research Abstract |
前年度までの成果を踏まえ、創作文のための系統的なビジュアル・ツールを開発し、発達段階に応じた学習のためのシートとして具現化した。また、ビジュアル・ツールの活用のために、課題追求型の学習過程として、ライティング・ワークショップ形式と交流型の協同学習を採用した。開発したシートとカードを活用したライティング・ワークショップ形式の単元案を、附属高松小学校・附属高松・坂出中学校の教諭とともに共同で構想した。それに基づき、附属高松小学校・附属高松中・坂出中学校において創作文の研究授業を行った。これらについては、ICレコーダーおよびデジタルビデオカメラを用いて録音・録画し、トランスクリプトに基づき分析した。その学習者反応の分析および表現物の分析を基に改良を重ね、創作文指導の学習プログラムを開発中である。 また、新学習指導要領に基づいた新教科書における創作文以外の各単元におけるストーリーマップの活用を構想した。その結果、スピーチやプレゼンテーション、俳句の鑑賞文、文学教材の主題把握、評論文の作成などについて、幅広く研究授業を行うことができた。これらをもとに、来年度、研究成果を公刊する予定であり、附属校教諭を中心とする協同研究者とともに、現在原稿をまとめつつある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ビジュアル・ツールの活用による創作文指導の新たな方法を、①創作文(特に物語)自体の構造的分析と理解 ②ストーリーマップを初めとする個々のビジュアル・ツールの特性の分析と把握 ③学習者の反応と生産された表現物の分析と考察、の三点から捉えようと試みるものであり、それに基づき、ビジュアル・ツールをシート及びカード化した教材と、指導理論・指導方法を一体とした指導書の開発を目指している。具体的には、創作文の着想段階におけるシンキングマップ、構想段階におけるストーリーマップや登場人物などのキャラクターマップを活用し、読解と表現の双方から、創作文の仕組みを理解し、誰もが主体性に表現を楽しむことができるライティング ・ワークショップと協同学習形式の学習プログラムを開発、その指導実践のための指導書を編纂し、広く初等・中等の実践界に寄与することを目的とする。また、附属小学校・附属中学校をはじめとする校内研究、および公立学校の現職研修の機会を通じて、実際の授業作りにも参画し、検討会を通じて改良を重ね、学習者の主体性を保障する指導法や評価方法を含み、広く教育現場に貢献することを目指している。 以上の内、今年度は、 ①マップやシート、カードの開発と印刷・配布、さらに、②附属小学・中学教諭とともにライティング・ワークショップや交流形式の学習プログラムを開発し、実践・検討、③創作文以外にも援用した諸単元の実践と分析、④これまでの研究成果の公刊に向けての研究の整理と原稿の執筆。 以上の段階まで進んでいる。したがって、「おおむね順調に進展している」と評価するものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の計画は以下の通りである。 1,教師向けの指導理論書を編纂、刊行し、公立校における現職研修の機会をとらえた指導助言、および現職教員研修のための指導法講座の実施、子ども向けの創作ワークショップの開設等を行い、普及に努めるとともに、評価法を含めた実践検証を深める。2,以上の研究成果を、単元案やワークシート集、カードを含めた指導書の形で出版社より公刊し、広く公開する。3,附属小学校・附属中学校をはじめ、公立学校における校内研究、および現職研修や講習会等の機会を通じて、実際の授業作りにも参画し、検討会を通じてさらに改良を重ね、学習者の主体性を保障する指導法や評価方法を含む形で公開・発信を続け、広く教育現場に貢献する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、国立国会図書館等において内外における創作指導関係文献を収集し、先行研究と比較分析するとともに、欧米におけるマッピング等のビジュアル・ツール関係文献を収集し、分析することによって、原理面・方法面の考察を深化させる。 次いで、附属校・公立校において、ビジュアル・ツールの活用による諸単元のパイロット授業および検討会を実施し、ICレコーダおよびデジタルビデオカメラを用いて録音・録画する。録画・録音したものをもとに、資料整理の協力者に依頼し、トランスクリプト化し、分析する。 開発した学習方法を、学習の手引き及びマップ・カードとして、印刷・冊子化し、関係学校・教育委員会等に広く発送する。
|