視覚障害児・者の鑑賞活動の方法及び支援ツールの開発

2014 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 23531205
• Research Institution: Kyoto University of Education
• Principal Investigator: 日野 陽子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90269928)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 塩瀬 隆之 京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90332759) [Withdrawn] ; 横田 真 京都大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (90643643) [Withdrawn]
• Project Period (FY): 2011-04-28 – 2015-03-31
• Keywords: 音声ガイド / 視覚障碍者 / 美術鑑賞 / 細見美術館

Outline of Annual Research Achievements

昨年までの研究過程では、ボタン式のアンドロイド型スマートフォンに、音声として提供する展覧会の作品情報をテキスト入力してダウンロードし、AI社の合成音声サービスを利用して、展覧会場で聴くことができるシステムを開発してきた。随時、細見美術館のコレクション展で実証テストを行ってきたが、これまでは上記システムのアプリケーション開発と安定に重点を置いて進めてきたため、鑑賞内容に関わる作品情報は、視覚的情報と作品・作者の時代背景や表現技法等の基本的な知識情報とで構成していた。
最終年となった本年は、これまでのシステムをモニター利用してもらった視覚障害者の意見や希望を採り入れて、できるだけ実際に数人の人と一緒に鑑賞しているかのような状況を音声案内に作り込むこととした。それは、これまでと同じ視覚的、知識的な基本情報を合成音声で聴ける案内と、美術を専門に学んでいる３名の学生による自由な鑑賞のおしゃべり（肉声）の、２種類の案内を作成、導入し、利用者はこれらを選択して必要な方を聴いたり、両方を聴いたりすることができるというものである。この音声案内は、細見美術館で平成２６年１２月２０日～平成２７年２月２２日まで開催された細見コレクション名品選「麗しき日本の美ーめでたし、愛でたしー」の出展作品で作成、使用できるものとした（合成音声２８作品、肉声の鑑賞会話１０作品）。テキストの作成過程では、肉声の鑑賞のおしゃべりを録音した京都教育大学美術科の大学院生が、作品を何度もしっかりと見て、気づいたり感じたりしたことを自由に話し合うことを柱としたが、視覚障碍者が一人で使用してもできるだけわかりやすくなるよう、合成音声の基本情報も交えながら繰り返し編集を行った。また、細見美術館の来館者層は中高年者が多いため、若い人々にも当館の優れた古美術作品をより身近なものとして親しみ、楽しんでもらう契機となるよう努めた。