英語学習意欲のエピソード分析と英語教師教育資料の開発

2011 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 23531206
• Research Institution: Ehime University
• Principal Investigator: 池野 修 愛媛大学, 教育学部, 教授 (70294775)
• Project Period (FY): 2011-04-28 – 2014-03-31
• Keywords: 英語学習意欲 / エピソード分析 / 教師教育

Research Abstract

本研究の最終目的は，英語学習意欲についての実践的価値の高い知見を生み出し，教職課程および現職教員（ALTも含む）研修などにおいて用いる教師教育用資料（及び関連活動）を開発することにある。この目的を念頭に置きながら，平成23年度（初年度）は，主に文献研究，探索的なデータ収集，教師教育資料の試作などを中心に研究を進めた。具体的研究内容（成果）は次の4つである。(1) 英語教育学における動機づけ研究について，特に研究者自身によるレビュー研究 (池野2007) 以降に発表されているものを中心に，広範囲にレビューを行った。(2) 関連文献を読むことを通して，質的データやグラウンデッド・セオリー・アプローチなどに関する理解を深めた。(3) 英語学習意欲の変化に関するエピソード・データを約60名の大学生から収集した。(4) 現在までに収集済みのデータを素材に，英語教師教育用の資料（「英語科教育法」という授業の中で使用するもの）を作成し，それを用いた授業実践（2授業時間）を試行的に実施した。作成した資料とは，学習意欲エピソード集（元々日本語で提供されたデータを英訳したもの）と英語学習意欲を高める／低下させる要因 (motivating factors) の表である。また，これらの資料を基に，受講生によるエピソードの分析→背後にある要因の考察→理論的概念との統合という流れを持つ活動（＝学習者自身が，具体的なエピソード・データから出発して理論化を行う「データ駆動型」のアプローチ）を考案し，その試行的実践を行った。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

初年度は文献研究と探索的データ収集を計画していたため，学会での研究発表や論文の発表という形では成果は結実していない。データ収集も行っているが，まだその規模が小さい状況であり，これ以後範囲を拡大していく予定である。

Strategy for Future Research Activity

第2年次は，(1) 引き続き関連のエピソード・データを収集する，(2) 暫定的に作っている「英語学習意欲を変化させる要因（motivators/demotivators）」のモデルを精緻化させる，(3) すでにあるデータや作成した資料に基づき行った英語教師教育の実践について，全国英語教育学会愛知研究大会（8月）およびTESOL 2013研究大会（3月，テキサス州ダラス）において発表を行う，という形で研究を推進していく。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

第２年次は，主に (1) 関連文献やデータ分析のためのツールなどの購入と (2) 研究成果の学会での発表（国内学会と海外学会）という用途に研究費を使用する計画である。