2011 Fiscal Year Research-status Report
思春期における造形表現の質的変化をふまえた美術教育の方法論に関する研究
Project/Area Number |
23531217
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
新井 哲夫 明治学院大学, 心理学部, 教授 (40222715)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 思春期 / 造形表現の質的変化 / 造形表現の発達 / 造形表現の過渡期 / 絵画表現 / 描画の危機 |
Research Abstract |
平成23年度は本研究の初年度であり、研究実施計画に従って(1)研究環境の整備、(2)思春期における造形表現の危機に関する先行研究の調査及び教員への聞き取り調査、(3)造形活動における表現イメージの形成過程とメカニズムに関する検討の三つの課題について取り組んだ。 (1)については、現地調査用の小型ノートパソコンの購入及び文献資料の収集を行い、研究環境の整備を図った。 (2)の先行研究の調査については、中学校においてユニークな取り組みを行い、歴史的な成果を挙げた木水育男の美術教育の実践を調査し、論文「木水育男が指導した思春期の子どもの絵─同時代者による評価をてがかりに─」にまとめ、著書『木水奥右衛門(育男)指導児童画集』に収載した。さらに、思春期における造形表現の危機の問題については、H.ガードナーの所説を分析するとともに、それを従来説と比較検討することにより、より幅広い視野から、思春期における造形表現の危機の背景を考察し、論文「思春期における絵画表現の危機に対するハワード・ガードナーの解釈をめぐって」にまとめた。 (2)のもう一つの課題である教員への聞き取り調査については、群馬県及び滋賀県を中心とする小・中学校の教員19名に研究協力者を委嘱し、合同の研究会を開催し、日頃図画工作・美術の授業を行っている中で強く感じていることや考えていること、改善が必要と思われる課題等についてディスカッションするとともに、本研究の目的や意義、方法等について説明を行い、次年度以降の協力を依頼した。 (3)については、関連文献の収集を行ない、研究資料の充実を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画の課題(1)(2)については、ほぼ当初の予定通りに進めることができた。(3)については、文献資料の収集は予定通り進んだが、文献資料の解読および分析については当初の目標を達成できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、研究実施計画に基づき、思春期の美術教育に関する実践事例の収集と分析、題材及び指導法の開発と学校現場での試行等を行う。なお学校現場での試行は、研究協力者と共同で思春期の発達特性をふまえた題材の開発と指導方法の検討を行い、学校の年間指導計画との調整が可能な範囲で小学校高学年以上の学年を対象に題材及び指導方法を実践するものである。学校現場での題材及び指導法の開発と実施にあたっては、学校の年間指導計画の実現に向けた教育活動に十分寄与できるように配慮するが必要がある。 また合わせて、平成23年度に十分に取り組むことができなかった「造形活動における表現イメージの形成過程とメカニズムに関する検討」を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に支給予定の研究費は600,000円であるが、その内訳は物品費180,000円、旅費150,000円、人件費・謝金200,000円、その他70,000円である。なお次年度に使用する予定の38,144円は、消耗品の総額が当初の見積もりよりも少額であったため生じたものであり、次年度の消耗品費として使用する。 全体の55%を占める旅費と人件費・謝金は、学校での授業研究に伴う旅費、研究協力者による報告書作成に対する謝金等に関わる経費である。また物品費は書籍の代金及び消耗品費であり、その他は通信費、複写費、研究成果投稿料などである。
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Research Products
(4 results)