2013 Fiscal Year Annual Research Report
思春期における造形表現の質的変化をふまえた美術教育の方法論に関する研究
Project/Area Number |
23531217
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
新井 哲夫 明治学院大学, 心理学部, 教授 (40222715)
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Keywords | 思春期の美術教育 / 造形表現の発達過程 / 造形表現の質的変化 / 造形表現の危機 / 造形表現のメカニズム / 美術教育の方法論 / 教科内容 |
Research Abstract |
本研究は、思春期において一般的に見られる造形表現(特に描画)の停滞や苦手意識の高まりについて、心理学、芸術学、教育学の知見を総合してその原因を明らかにするとともに、克服のための方法論を探るものであり、以下の課題について調査研究を行った。 (1)従来の美術教育における思春期の問題に関する認識と対応について 本研究では、研究代表者のこれまでの研究成果(科研費補助金基盤研究(C):課題番号175308634/同:課題番号20530800)をふまえて、我が国の戦後美術教育の主要な思潮が思春期の問題をどのように捉えていたかを実践記録等をもとに明らかにした。平成25年度は、児童中心主義の日本的展開として我が国の戦後美術教育に最も大きな影響を与えたとされる創造美育運動に関する言説を取り上げ、文献資料に基づく検証を行い、その実像を明らかにした。 (2)思春期における造形表現の危機の原因およびその改善・克服の方策について (1)の調査研究により改めて明らかになったことは、創造美育運動においても、その対抗運動としての生活リアリズムの美術教育においても、思春期における造形表現に見られる発達特性を思春期固有の問題として捉えようとする意識が希薄だったことである。本研究では、研究代表者の従来からの主張〈思春期の危機は造形表現の発達過程における表現活動の質的変化に起因する必然的なものである〉とする認識に基づき、研究協力者の協力を得て、思春期の独自性に配慮した題材及び指導法に関する実践事例の収集と調査を行った。平成25年度は、題材及び指導法の背景となる教科内容について検討を行い、教科内容に関するパラダイムと主要な教科目的を情操教育とする現行の教科観そのものの再検討の必要性を明らかにした。 (1)及び(2)の研究成果は、研究代表者が主催する研究会や講演会での発表、学会誌及び研究会の機関誌への投稿により公開した。
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Research Products
(6 results)