2011 Fiscal Year Research-status Report
社会科における論理的思考力と公正な社会的判断力の育成に関する実践的比較研究
Project/Area Number |
23531218
|
Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
坪井 龍太 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 准教授 (30440374)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 誠司 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (10282782)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | Language Arts / 公正な社会的判断力 |
Research Abstract |
多文化社会では異質な価値観の衝突が生じる。一方の価値観からみるともう一方の価値観は「トレラント(tolerant) ―寛容」ではない存在,つまり「イントレランス(intolerance) ―不寛容」ということになる。この「イントレランス」に対して,子どもたちがどのような認識をし,どのような意識や態度を身につけるべきか,そのための社会科教育はどうあるべきかについて考究する。アメリカの多文化教育における「エクイティ教授論(Equity Pedagogy)」を手がかりに,日米の具体的な社会科実践の観察・分析を通じてそれを明らかにすることが本研究の中心課題である。1.授業観察・学校観察 アメリカ・ハワイ州の小学校において観察・記録・分析を行った。また国内では、横浜市立霧が丘中学校、神奈川県立霧が丘高等学校、横浜翠陵中学・高等学校、東洋英和女学院中学部・高等部などの観察・記録・分析を行った。2.「コンプリヘンシブ」に関する資料の収集 ハワイ州教育局を中心に,教育政策における「コンプリヘンシブ」に関する資料収集を行った。3. アメリカ・ミネソタ州マカレスター・カレッジでの資料収集,コネチカット州におけるニューイングランド多文化教育学会出席,オランダ・ロッテルダム日本人学校における学校観察・授業観察 4.研究の途中経過の報告 本研究の企画段階より考察してきたことについて,異文化間教育学会公開研究会および全国研究大会,日本公民教育学会,日本社会科教育学会において報告を行い,今年度の研究の基礎固めとした。また、国際犯罪学会に出席し(2011年8月・神戸)、公正の概念について、認識を深めるよう努力した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は、国内の学校5校との信頼関係を深め、参与観察等をスムーズに行えるようになっている。研究分担者は、ハワイ州の小学校はもちろんのこと、コネチカット州で開催された多文化教育学会において、十分な情報収集を行うことができた。ロッテルダム日本人学校における現地調査が行えたが、交付された研究費では、十分な滞在日数を得ることができず、次年度、継続的に調査をすることが必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
・平成23年度に得られた成果を基にして、研究代表者は国内の授業記録による実践分析を、研究分担者はハワイ州での授業記録による実践分析を行う。特に研究代表者は、研究分担者との共同授業開発実践で得られた成果をもとに、国内の民族的・文化的に多様な子どもたちへの教育のあり方と移民国家アメリカにおけるLanguage Artsの特質を明らかにしていく。・研究代表者と研究分担者で共同して、ハワイ州のみならずアメリカの社会科とLanguage Artsを研究し、授業記録分析のための枠組みを確定しながら、社会科教育で形成されうる言語操作能力は何か、そして論理的思考力と表現力を重視した社会科教育の方法を追究する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者は、授業実践レベルでの社会科教育の方法を追究する。研究分担者はこれまでに質的研究の方法についても研究を深めてきている。研究が当初の計画通りに進まない場合は,生成された仮説の再検討を行うことにより対応する。これが可能となるのは,フィールドに根ざした本研究のような研究方法の最大の利点のひとつである。
|