2011 Fiscal Year Research-status Report
批判的リテラシーを育む福祉科教育における問題解決学習プログラムの開発
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23531219
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Research Institution | Kinjo University |
Principal Investigator |
永原 朗子 金城大学, 社会福祉学部, 教授 (50263752)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 批判的リテラシー / 批判的思考 / 福祉科教育 / 問題解決学習 / 社会福祉制度 / 基礎介護 / 介護福祉基礎 / 生活支援技術 |
Research Abstract |
本研究は、「福祉科教育法」の体系的指導法および教育プログラムの開発(平成19年度~平成21年度:科研費補助金基盤研究(C))の成果を発展させるものである。ここで得られた成果とは、「福祉社会の創造・実践に向けて社会福祉に関する諸課題を主体的に解決していく力」が大きく求められている福祉科教育には、"批判的思考"や"批判的リテラシー"を育む必要性が浮かび上がった。批判的思考は、古典的定義(ジョン・デューイ、エドワード・グレーサー、ロバート・エニス等)、我が国の教育分野および職業分野における定義(言語論教育、教育学、心理学教育、看護学、社会福祉学)から示唆を受け、「ものごとを鵜呑みにせず、常に疑問を持ち、広い視野から論理的に深く熟考し、よりよい解をもとめていく思考」と捉え、この様な思考を福祉の現場で応用・活用する総合的な能力を"批判的リテラシー"と称した。また、世界の学力調査(OECDのPISA調査、PISAの上位概念であるDeSeCoのキー・コンピテンシー)から21世紀に求められる学力は「現実の問題に直面した時、何が問題なのかを明確にし、その解決のために知識や経験を総動員して推理する論理的な思考力-批判的思考力(クリティカル・シンキング)」であると言える。以上のことを踏まえて、批判的リテラシーを育む学びに向けて、6つのステージ((1)問題に気付く、(2)情報収集、現状把握、(3)問題の特定、(4)解決策の選択肢、(5)解決の決定と実行、(6)結果の発表/振り返り)を設定した問題解決学習の各プロセスの中に、批判的思考を取り入れたプログラムを開発した。このプログラムに基づいて、社会福祉制度-生きがい・社会参加(7時間)、基礎介護-介護家族への援助(4時間)、生活支援技術-着脱衣(8時間)および-身体拘束(8時間)、介護福祉基礎-安全確保とリスクマネジメント(12時間)の授業を実践し、DVDに記録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己点検による評価の理由は、以下のとおりである。 (1) 授業プログラムと評価方法の開発に向けて、授業実践者と綿密な打ち合わせが出来たことから、実践が当初の計画よりも早く実施することが出来た。(2) 授業分析のために、事前に実践校の校長にその旨を説明し、写真・ビデオ撮影の許可が得られ、順調に進んだ。 なお、(3)当初、計画していた福祉現場で求められる能力のアンケート調査は、今年度は実施することが出来かった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に実施出来なかった福祉現場で求められる能力のアンケート調査を実施する。その調査結果を踏まえながら、実践した授業をワークシートおよびDVDより分析・検証し、プログラムの問題・課題を整理・検討する。 その際、授業実践者の意見も参考にし、批判的リテラシーを育む学びに向けて、新学習指導要領に基づく科目において、批判的思考を取り入れた問題解決学習の改善プログラムと評価方法を検討し、提示する。 前回の研究成果と併せて、報告書を作成する。また、学術図書の出版も想定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度交付額および昨年度の次年度繰越額の合計額1,155,345円の使用内訳は以下のとおりである。 物品費は、主として教育学、福祉教育、介護福祉の図書およびビデオ教材 旅費は、主として調査・研究および学会出張のための旅費・宿泊費 その他は、通信費、成果報告書の印刷費、消耗品などである。
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