2012 Fiscal Year Research-status Report
批判的リテラシーを育む福祉科教育における問題解決学習プログラムの開発
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23531219
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Research Institution | Kinjo University |
Principal Investigator |
永原 朗子 金城大学, 社会福祉学部, 教授 (50263752)
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Keywords | 批判的リテラシー / 批判的思考 / 福祉科教育 / 問題解決学習プログラム / 生活支援技術 / 介護福祉基礎 / 社会福祉制度 / 基礎介護 |
Research Abstract |
前年度に、高校福祉科において実践した「批判的リテラシーを育む福祉科教育における問題解決学習プログラム」の学習効果と問題・課題を分析するに先立ち、授業の全体構成と学習プロセスについて報告する。1.授業の全体構成は、5つの実践とも8つの段階-①問題に気付く・着目、②現状把握・問題の特定、③情報の取捨選択、④情報の分析・関連付け・統合化、⑤解決の選択肢の検討、⑥解決方法の多面的・多角的検討、⑦解決方法の決定・実行、⑧評価・省察-で構成した。2.学習プロセスは、個別の事例から問題点をあげる→情報を収集し、現状を把握する→必要な情報・資源を考え、個人で収集する→個人で収集した情報をチームで多面的・多角的に検討し、共有する→必要な支援・資源は何かについて討議する→具体的な支援方法を多面的・多角的に検討すると共に、新たな資源の開発を考える→支援計画を決定し、実行する→結果を発表し、振り返る。 次に、学習効果の概要と問題・課題について報告する。 1.生活支援技術、介護福祉基礎、社会福祉制度の実践は、身近な事例を活用したことから、生徒にとって問題への着目・発見がスムーズに出来、各プロセスの中で批判的思考を深めながら解決方法を導くことが出来、生徒にとって新たな学びへと繋がった。2.基礎介護の実践は、教師指導型になり、生徒の思考過程の曖昧な部分が見られた。3.より良い介護は、個人の力だけでなく、複数の力を必要とすることから、個人学習とグループ学習を取り入れ、相互の関連付けを図ったことから、新たな資源開発・解決方法を導くことが出来た。4.社会福祉制度の実践は、地域の福祉の情報を確認させておくことが必要であった。 以上の結果を踏まえて、さらに詳細な分析をし、プログラムの有効性と改善ブログラムの提示が今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己点検による評価は、以下のとおりである。 生徒の学習状況の把握、学習効果の分析、授業の反省と改善プログラムの基礎資料を得るため、研究者は5つの授業実践をすべて参観すると共に、写真およびビデオを撮影した。一方、学習のプロセスや内容が理解出来るワークシートを実践者が作成した。また、授業に対する感想の自由記述調査を生徒に実施した。 これらの資料は、研究課題-授業実践による福祉科教育における批判的思考を取り入れた問題解決学習プログラムの検証-にとって、有効なものとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
5つの授業実践の分析(ワークシート、DVD、写真、自由記述の内容など)より、学習効果を検証すると共に、プログラムの問題・課題を整理する。加えて、授業実践者の意見・感想や教育学・教育方法の文献および福祉教育の実践例などを参考にし、批判的リテラシーの育成に向けて、新学習指導要領に基づく科目において、批判的思考を取り入れた問題解決学習プログラムを開発すると共に改善プログラムを提示する。 なお、最終の研究期間には研究成果として、授業実践集ならびに成果報告書を作成する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度交付額および昨年度の次年度繰越額の合計額1,402,014円の使用内訳は以下のとおりである。 物品費は、主として教育学、教育方法、福祉教育、介護福祉に関する図書およびビデオ教材、旅費は、主として調査・研究および学会出張のための旅費・宿泊費、その他は、通信費、授業実践集、成果報告書の印刷費、消耗品費などである。
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