2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23531221
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Research Institution | Tokoha Gakuen University |
Principal Investigator |
坂口 京子 常葉学園大学, 教育学部, 准教授 (60440591)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 言語力 / カリキュラム / 教育課程 |
Research Abstract |
研究成果の具体的内容は以下のとおりである。 第一に、研究計画の策定である。(1)基本的枠組((1)言語力の定義、(2)思考力、知的能力、方法知との関連、(3)全教育活動と国語科との関連)と、(2)平成23年度の史料調査、教科書調査の方法と範囲を決定した。第二に、教科書・雑誌論文の調査および教育課提案の発掘である。教科書図書館、東京学芸大学図書館、早稲田大学図書館、高知大学図書館において、昭和20年代国語科教科書・社会科教科書調査を行った。なお教育課提案については、上記図書館他で調査を継続中である。第三に、先行研究で収集した「基準教育課程(試案)」の電子データ化である。第四に、「言語力の体系と育成」関連の文献目録を作成し、図書購入計画を策定した。第五に、自主研究会(清水国語の会)についてのインタビュー調査である。静岡大学教授望月誼三を中心とした戦後直後からの自主勉強会の実態調査である。具体的には、大槻明三氏、権田貢氏へのインタビュー調査、さらには校内研修冊子(藤枝市立藤枝第二小学校:昭和33年度~36年度:大槻明三氏寄贈分)の分析である。 その意義と重要性は以下のとおりである。 第一に、昭和20年代国語科教科書・社会科教科書における教材、手引きの実態が明らかになることで、国語科と他教科においてどのように言語力を育成していたか、その体系と関連を分析することができる。第二に、戦後のカリキュラム改革を言語力の観点から調査すること、初期の教育改革がどのように引き継がれていったか、自主研究会の実態や校内研修冊子、雑誌論文を考察することで、言語力育成の実態と課題が明らかになる。国語科のみならず全教科の取組みを考察することで、その体系についての考察が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
達成度が「やや遅れている」と評価した理由の第一は、史料や文献の調査に時間がかかったことである。 国語科教科書・社会科教科書については、小学校、中学校分について順調に進んでいる。課題は、各地域・学校における教育課程案の発掘である。研究計画にも記したように、この点は予想の範囲であり、方策の一つとして雑誌論文調査に着手している。 今後、調査対象の図書館および公的機関の拡大を図るほか、現在行っている雑誌論文を中心に、教育課程案の収集と考察を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として4点ある。 第一に、平成23年度調査の継続である。昭和20年代の教科書調査と史料調査を粛々と進める。 第二に、第一の成果をふまえ、言語力の定義と体系について総括することである。その上で、授業研究の観点を決定する。 第三に、現在行われている授業の調査研究である。小学校、中学校の各授業を記録・分析することにより、言語力育成の課題を明らかにする。国語科、社会科、算数・数学科、理科、総合的な学習の時間を記録し、国語科と他教科との関連、さらには国語科の独自性について検討する。 第四に、以上を研究的に止揚することである。とくに思考力、方法知と言葉の教育との関連を明らかにすることで、言語力の体系化と育成の方向性を明確にしていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度分も含めた、平成24年度の研究費使用計画は以下のとおりである。(1)物品では、(1)授業研究記録用のビデオカメラ、(2)プリンター、(3)史料記録用のデジタルカメラを購入する。図書については、平成23年度に作成した「言語力の体系と育成」に関する文献目録にそって購入を進める。(2)旅費は、図書館への調査、学会への参加等が中心となる。(3)その他謝金等は、主なものとしてインタビュー調査の謝金、授業公開への謝金を予定している。
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