2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23531222
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
松崎 正治 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (20219421)
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Keywords | 実践的知識 / 初任期 / 中堅期 / 暗黙知 / 同僚性 |
Research Abstract |
教師は、初任期のおよそ十年前後を経て、中堅期に入ってくる。優れた教育実践が展開できるようになるかどうかは、初任期から中堅期へと移行する時期にかかっている。 現在、20代の初任期の教師が大量採用され、初任期から中堅期へと移行する彼らを職場で育てていくことがきわめて重要であるが、そのための知見が解明されているとは言い難い。教師教育の観点からは、この時期の研究が切望されている。 そこで本研究は、教師の中堅期における国語科授業に的を絞って、教師生活の転機における実践的知識の成長を分析し、また同僚性を発揮して相互の成長を図る様相を分析して、中堅期の教師が反省的実践家として国語科における実践的知識を形成していく具体相を明らかにする目的で行われている。 研究の2年目である2012年度は、以下の4つの取り組みを行った。1)文献による先行研究や関連研究の検討。2)初任期から中堅期に移行する時期の小学校教師Aさんの実践のデータ収集とインタビューデータの収集。3)教師Aさんを支え育てた、熟達期の教師Bさんへのインタビューデータの収集。4)上記データの分析と理論的仮説の析出。 これらの結果、教師が反省的実践家として国語科における実践的知識を形成していく過程として、以下のような中間的な成果が得られた。①児童になってみて、児童の側からの見えを体感するという方法で暗黙知を理解しようとしている。②「脱文脈化」されている実践の表象を「再文脈化」し、自分の授業スタイルになじませていっている。③他の教科学習での成功事例を国語科にも応用していく。④ベテランのメンターが持つ価値観が埋め込まれた学校文化に参加することによって、省察を繰り返して学んでいく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ順調に進んでいる。研究2年目の2012年度は、およそ2つの取り組みを行う計画であった。 ①文献研究による分析枠組みの修整 ②データの分析・解釈の深化と補足 ①に関しては、関連分野の研究に学びながら、分析枠組みの修整を行うことができた。とりわけ、「暗黙知」に関して深めることができた。②のデータの分析・解釈の深化と補足は、1年目に集めた初任期から中堅期へ移行する時期の教師Aさん(年齢的には二〇歳代後半)のデータに加えて、さらにもう1人の小学校教師のデータを収集することができた。こちらは、教師Aさんを支え育てた、熟達期の教師Bさんである。Aさんのデータだけではなく、Aさんを支えたベテランのメンターとしてのBさんのデータを得ることによって、同僚性についてさらに分析と解釈を深化させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究3年目の2013年度は、およそ2つの取り組みを行う。 ①文献研究による分析枠組みの最終的な修整と深化拡充 研究3年目は、1・2年目のデータと解釈を基礎にしながら、文献研究によって、分析枠組みの最終的な修整と深化拡充を行いたい。 ②データの補足と分析・解釈の深化 研究1・2年目に集めた初任期から中堅期へ移行する時期の若手教師Aさんのデータと、教師Aさんを支え育てた熟達期の教師Bさんのデータで、不足している分はさらにインタビュー等を行って、補足する。 その上で、全てのデータを最終的な分析枠組みによって分析し解釈する作業を深化させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)