2011 Fiscal Year Research-status Report
学校音楽カリキュラム経験研究―子どもの教科学習の「学び」の経験と意味の実証的解明
Project/Area Number |
23531223
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
笹野 恵理子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (70260693)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 学校音楽 / 学校音楽カリキュラム / カリキュラム経験 / 潜在的カリキュラム / 学校音楽文化 / 国際研究者交流(韓国) |
Research Abstract |
学校音楽カリキュラムは、当事者である子どもに実際にどのように経験されるのか。この問いに支えられて、本研究の目的は、学習者の「学校音楽カリキュラム経験」を解明しようとするものである。平成23年度は、(1)子どもの学校音楽カリキュラム経験の内容構造を日韓の質問紙調査の分析から解明するとともに、(2)中学校をフィールドにしたエスノグラフィーを開始した。子どもの学校音楽カリキュラム経験の内容構造を解明するにあたって、制度化された学校音楽カリキュラムが、実際に子どもにどのように経験されるか、その経験内容構造を潜在変数として、探索的因子分析を行った。また、日本の学校音楽カリキュラム経験の特徴をより具体的に解明するために、制度化されたカリキュラムが異なった特徴を有すると思われる韓国との比較分析を行った。質問紙調査の回答結果に因子分析を施し(主因子法、バリマックス回転)、日本の子どもの学校音楽カリキュラム経験の内容構造として、次の6因子を析出した。「協同性効果」「学習方法」「授業ルール」「音楽的情意」「相互作用」「有能感」である。日本の子どもは、これらの学校音楽カリキュラム経験の内容構造を有しているといえる。同様に、韓国の子どもの学校音楽カリキュラム経験の内容構造として、次の6因子を析出した。「学習効果・方法」「授業ルール」「音楽的情意」「認識」「生活化」「技能」である。韓国の子どもは、これらの学校音楽カリキュラム経験の内容構造を有しているといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、日韓における量的調査を行った。計画は、フィールド参入が若干遅れたが、その他は前年度までの研究成果の蓄積から量的調査の環境が整っており、24年度予定していた韓国における調査を終了できたことから、おおむね順調にすすんだといえる。進展できかなった部分として、長期的スパンにたった調査があげられる。この調査が遅れているのは、調査票作成の困難さとともに、調査対象を特定することが極めて困難であることから、調査実施に安直に踏み出せなかった。もう1点当初予定していたことでできていないものとして中学生の量的調査があるが、こちらは調査票についても作成できており、次年度予定していた韓国の調査がすでに終了していること、質的調査にはいるフィールドも確定していることから、遂行が可能であると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
H23年度に、年度末からフィールド参入する予定であったが、やや計画がおして、フィールドの選定のみにとどまった。その理由は、H24年度実施予定であった韓国での調査(量的調査)が可能であったため、そちらを優先したためである。フィールドはすでに23年度内に確定し、先方との打ち合わせなども終了していることから、今後は、定期的にフィールド調査を実施する。またあわせて生涯スパンにたった量的調査を行っていきたい。量的調査における対象の選定ならびに質問紙の作成が難しければ、24年度は質的データ確保を優先し、調査票のみ作成する。次年度使用額8,267円を発生させたが、その理由は、計上した旅費のうち、予定していた学会出張を本務校の勤務の都合で1泊きりあげたことから生じたものと思われる。H24年度調査旅費にあてて、フィールド調査を実施していきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1 フィールド調査 中学校1校と調整済みであるため、1年間週1回のペースでフィールド参与する。そのため旅費を使用する。次年度使用額8,267円については、H24年度フィールド調査旅費にくみいれて使用する。またフィールド調査において収集する映像データ、音声データ、フィールドノーツなどの管理や編集、それらのデータ資料作成について、謝金を計上する。2 量的調査 フィールド選定した中学校ならびに近隣地区において中学生の学校音楽カリキュラム経験に関する調査を実施する。また、生涯スパンにたった世代間格差などを解明する量的調査については、調査対象が選定できれば調査票を作成し、実施する。双方の調査について、データ入力や解析に、謝金を計上する。3 成果発表 本研究の成果発表として、国内外における学会発表を予定している。そのための旅費を計上する。4 その他 国内外の学術誌に投稿予定であり、投稿費あるいは論文抜きずり費を計上する。また、調査におけるデータが多く、データ整理に係る謝金が当初の見込みより多く発生した場合には、調査を優先し、成果発表旅費等で調整する。
|
Research Products
(10 results)