2013 Fiscal Year Annual Research Report
学校音楽カリキュラム経験研究―子どもの教科学習の「学び」の経験と意味の実証的解明
Project/Area Number |
23531223
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
笹野 恵理子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70260693)
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Keywords | 学校音楽 / 音楽教育 / 潜在的カリキュラム / カリキュラム経験 / 経験されたカリキュラム / ナラティブアプローチ / 国際研究者交流(韓国) / 学校音楽カリキュラム |
Research Abstract |
学校音楽カリキュラムは、当事者である子どもに実際にどのように経験されるのか。この問いに支えられて、本研究の目的は、学習者の「学校音楽カリキュラム経験」を解明するものである。本研究期間において具体的に解明した成果は、以下の点である。 (1)子どもの学校音楽カリキュラム経験の内容構造 日本の子どもの学校音楽カリキュラム経験の内容構造について、小学生5、6年生を対象に質問紙調査を実施し、探索的因子分析を行った結果、カリキュラム経験の内容構造を支える因子として「協働性効果」「音楽的情意」「授業秩序」「学習方法」「相互作用」「有能感」と命名した因子を析出した。特筆すべき点として、あらかじめカテゴリーに設定した「技能」項目は独立した因子軸として析出されなかった点、また集団性を示唆する因子が析出された点である。すなわち、日本の子どもは、学校音楽では「技能」を経験している認識がなく、集団的に学校音楽を経験する可能性を示唆している。比較対象した韓国における調査によれば、「集団性」を示唆する因子は析出されず、「技能」因子は析出された。よって、先の2点は、日本独自の内容経験構造を支える因子として考えることができる。さらに男子と女子では異なる経験構造を有しているが、学年進行によっては経験構造に差がないことも明らかになった。 (2)大学生の「語り」による学校音楽カリキュラム経験の意味 大学生による「語り」の分析を通して、学校音楽カリキュラム経験の類型と分析枠組を仮説的に構想した。「カリキュラムに関する役割」と「カリキュラム・アイデンティティ」を2軸に、それぞれ「学習者間の相互作用」「教師との相互作用」が経験の分化をうながすと考えられる。大学生の「語り」の分析からは、家庭の経済資本による拡張的教育に規定される学校音楽経験他5つのカテゴリーを質的アプローチから仮説的に導き出した。
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Research Products
(4 results)