2012 Fiscal Year Research-status Report
米国社会科における多文化認識及びグローバル認識の統合と市民性育成に関する研究
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23531224
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
森田 真樹 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (60340486)
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Keywords | アメリカ合衆国 / 社会科教育 / アメリカの教育 / グローバル認識 / 多文化認識 |
Research Abstract |
本研究は、米国の社会科カリキュラム(教科書を含む)を事例的に分析することを通して、マルティカルチャル・シティズンシップとグローバル・シティズンシップを並行して育成するカリキュラムのあり方を、原理的、実践的に解明することを主目的としている。 平成24年は、研究計画に即しならが、次の点を中心に研究を進めた。それは、①関連資料の継続的な収集、②収集した教科書、カリキュラム、教材の分析、③現地調査先のリストアップと絞り込み、である。前年度の研究においては、米国の公民教育やシティズンシップ教育の改革動向を論考として整理したため、その点についての継続的な資料を収集するとともに、平成23年度に収集することができなかった州のカリキュラム等についても継続して収集を行った。また、収集した資料について、グローバルな認識や資質形成、多文化への認識や資質形成という点に焦点をあてて分析を行った。これらの認識や資質形成には、直接的に、グローバルな事象や多文化に関する事象を教育内容として扱うケースと、直接的には事象を扱わないものの、認識形成、資質形成にとって重要となるケースに大別できるが、後者の分析は多岐にわたるために、主に、前に焦点化して分析を行った。この間の「スタンダード化」する米国の教育改革の中では、ナショナル・スタンダード等を意識したカリキュラムや教科書構成となっており、とくに、カリキュラムについては、具体例が読み取りにくいケースが増えているが、関連する部分をピックアップする形で分析を進めた。現行の教科書の特徴を明らかにするためにも、経年的な記述内容の変化にも目を配ろうと考えているが、過去の教科書の入手が容易ではなく、次年度の課題としたいと考えている。最後に、教員の養成にも配慮する研究としているために、昨今の米国や日本をはじめ、教員養成のあり方についても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りに進展していると考えているが、教科書の収集という面で、若干予定より入手の数が少ない状況であるため、次年度に予定通りの教科書入手ができるようにしていきたい。また、現地調査を予定していたが、訪問希望先と当方の予定が合わずに、米国での調査活動を行うことができなかった。それを補うために、本研究に関係する研究者が招聘される国内の研究会やシンポジウムに参加することで情報収集を行ったため、大幅に研究の遂行が遅れるということはなかったが、次年度については、現地調査を実施して、本研究に必要な資料収集や関係研究者へのインタビューを実施したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、研究の最終年度にあたるため、計画書に示した次の6点について着実に実施していくとともに、過去2年間の計画の中で実施できかった点についても継続的に研究を進めていく。①前年までの収集した資料の継続的分析を行いながら、補足資料の収集を行う。②前半期に、資料収集と分析対象の州教育省調査のため、米国への現地調査を実施する。なお、現地調査にあたっては、L. Levstik教授(ケンタッキー大学)のアドバイスのもとで、適切な調査地を選定する予定である。③3年間の研究を踏まえ、研究課題である、多文化認識及びグローバル認識、および、その認識から育成されるマルティカルチャル・シティズンシップやグローバル・シティズンシップの育成が、どのように整合性を保ちながら、社会科カリキュラムや教科書内容に組みいれられているのか、小学校、中学校、高等学校段階におけるその原理を明らかにしていく。④各年度で調査を行う予定にしている、当該領域の実践を行う教員のあり方やその養成についても整理していく。⑤研究成果が、日本の社会科教育、国際理解教育、持続発展教育へどのように応用可能であるのか検討をすすめる。⑥研究のまとめとして最終報告書を作成するとともに、その成果を関連学会で報告する。(学会開催時期と研究終了時期との関係で、次年度の学会発表となることもある。) なお、上記②の現地調査については、この間の研究の進展状況を勘案して、最終的な訪問先や日程を決定したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、文献購入(米国で出版されている関係書、教科書および分析に必要となる文献)と、現地調査、国内調査(関連学会への参加も含む)の旅費として使用する計画である。
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