2013 Fiscal Year Annual Research Report
造形教育に関する一考察 ―物質性と肌理の関係から―
Project/Area Number |
23531226
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Research Institution | Nippon Bunri University |
Principal Investigator |
足立 元 日本文理大学, 工学部, 教授 (10389554)
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Keywords | 造形素材 / 物質性 / 質感化 / テクスチャ / 構成 / 美術教育 / デジタル・イメージ |
Research Abstract |
この研究は造形活動において,素材の物質的な特性が表現とどのような関わりを持つかを探るものである。私はデジタル・イメージの表面に質感を与え造形素材として操作可能にすることを質感化と呼び,その手法を探っている。これまでの研究業績の概要は以下の通りである。 1.デジタル画像の物質性についての一考察-素材の質感化の観点から-(美術教育学第33号,平成23年度)において以下の点を考察した。 ○デジタル画像を素材として扱う手法を探り,質感化を目的とした実験を行った。これによって得られた画像表面の特徴を「肌理」とした。 2.このことを踏まえ作品発表を行った。(作品発表:平成23年度から25年度までに12回,平成25年度は3回。)また,学会発表(第36回美術科教育学会奈良大会(平成25年度))を行った。学会発表では発表に関し,「デジタル・イメージが一般に普及していない時代の高校生の作品を分析し,その時代の高校生が画像に質感を持たせようとした行為を指摘したと理解される。」とのコメントを得た。 3. 平成25年3月に,以上のことを報告書(冊子)とホームページ(URL:http://www.nbu.ac.jp/~adachi/home/index.html)にまとめた。この3年間に研究が進捗した点は以下の通りと考える。デジタル・イメージを造形素材として用いるために「質感化」という観点を得ることができた。質感化を目的とした実験によって得られた画像表面は,ミクロともマクロともつかない不安な感覚とプラスチックのスケルトンを感じさせる独特の特徴を持つと考えられる。これによってこの画像表面の特徴を「肌理」とした。また生徒が制作したデジタル・イメージ作品から,画面に質感を持たせようとする行為が推測された。このことから「質感化」という視点を持つことは,デジタル画像を造形素材として用いるために一定の効果があると考えられる。
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