2013 Fiscal Year Annual Research Report
市民性概念の歴史的比較教育的分析に基づく市民性教育内容開発
Project/Area Number |
23531227
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
釜本 健司 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (10435208)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 伸 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (70508465)
|
Keywords | 市民性 / 教育内容開発 / 教育史 / 比較教育 / 市民性教育研究方法論 |
Research Abstract |
研究最終年度にあたる平成25年度は,次の三点からなる研究を実施した。一点目は,市民性教育で取り上げられる重要な複数の概念の日本の市民性教育カリキュラムにおける位置づけや取扱いの歴史的展開の分析を進めたことである。二点目は,思考力育成に焦点をあて,社会科での実践を想定した教育内容開発・市民性教育評価論に関する研究を進めたことである。三点目は,日本の社会科教育研究を対象とした市民性教育研究の方法論に関する検討を行ったことである。 これらの研究の意義は,次の三点にまとめられる。一点目は,市民性教育理論や実践を分析するフレームワークの改善・精緻化しえたことにある。二点目は,思考力という育成をめざす資質・能力と関わらせて,今日的課題を捉えた市民性教育内容やその評価の方法を提案できたことである。三点目は,研究の担い手に関する考察を加え,市民性教育論の日本的特質の把握を深化したことである。 本研究課題の期間全体を通じた成果は次の三点にまとめられる。一点目は,市民性教育の理論や実践を分析するフレームワークについて,イングランドとの比較や戦前・戦後の日本における公民教育内容の史的検討を通して解明したことである。二点目は,今日的な社会的課題の解決に資する内容を有するとともに,近年の社会系諸教科で特に重視されている思考力の育成をめざす市民性教育内容のモデルと評価の考え方を提示できたことである。三点目は,公民教育市民性教育を行う教師や市民性教育研究を担う研究者,といった教育研究の主体に焦点をあてた研究を手がけ,教科教育学としての市民性教育研究の新たな視点と方法を提示できたことである。 こうした成果からなる一連の研究の重要性は今後の市民性教育内容の在り方を示している点にある。また,研究の意義は,市民性教育の日本的特質に基づいて市民性教育の内容とその研究視点の考察を進めた点に求められる。
|
Research Products
(14 results)