2013 Fiscal Year Research-status Report
「日常生活や各教科等の学習に機能する読解力」育成のための授業モデルの開発
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23531233
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
水戸部 修治 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (80431633)
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Keywords | 国際情報交換 ベルリン / 読解力 / 各教科等の学習 / 図書館との連携 / 国語科学習指導 / 授業改善 / 評価規準 / 研究手法開発 |
Research Abstract |
平成23、24年度に引き続き、月1回、「読解力育成のための授業改善モデル」作成のためのワーキンググループを開催し、国立教育政策研究所が作成した「評価規準の設定例」及び「小学校学習指導要領解説」等を基に、「各教科等の学習に機能する読解力」の抽出作業を継続して行った。 また、平成24年度末に執筆した論文「『各教科等の学習に機能する読解力』解明のための手法開発に関する一考察」(国立教育政策研究所紀要)の内容をさらに精査し、平成25年5月18日(土)、19日(日)に弘前大学教育学部において開催された第124回全国大学国語教育学会弘前大会の第1日目の自由研究発表において、その中間的成果を発表したところである。なおこの学会発表の内容については、全国大学国語教育学会発表要旨集 124, pp.25-28に掲載している。 また、平成24年度の訪問調査において入手したドイツ連邦ベルリン市の、各教科における読解力向上の研究資料及び基礎学校低学年における読書指導の在り方に関する指導資料を翻訳し、内容の詳細な分析を行った。 さらに、この資料を手がかりに、ドイツ・ベルリン州における各教科等に機能する読解力向上の取組の現状等や実践化に向けての教員研修の在り方について調査するため、ベルリン・ブランデンブルグ州立学校・メディア研究所を訪問し、詳細な聞き取りを行い、関係資料を入手したところである。併せて、ベルリン市の公立図書館を訪問し、学校教育との連携の取組について詳細な聞き取りを行った。その結果、各教科等における調べ学習にも機能する情報検索能力を、学校との連携の基、図書館において系統的に育成する取組が行われていることを解明した。同時に、ベルリン市内の博物館を訪問し、学芸員から博物館における学校との連携の取組についても情報を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2年次までの成果を踏まえ、「各教科等の学習に機能する読解力」を抽出するための手法について確立し、さらに具体化することができた。具体的には、小学校国語科の「読むこと」領域における授業モデル(試案)の作成を通して、「各教科等の学習に機能する読解力」の抽出手法を用いて、授業実践を行う過程でどのように「各教科等に機能する読解力」を具体化するのかについて、そのステップをおおむね解明することができた。 また本研究においては、初年次、第2年次に引き続きベルリン・ブランデンブルグ州立学校・メディア研究所を訪問し、最新の研究開発に関する情報を入手することができた。 さらには、市立図書館における情報検索能力を系統的に育む取組について、我が国で初めてその具体的実践についての情報を得ることができた。具体的には、各教科等の調べ学習にも機能するようにするため、基礎学校の低学年では、本の種類や特徴をつかませる指導を行い、上の学年に進むにつれて、目的や必要に応じて目次や索引を活用して情報収集することができるようにするといった指導が行われていることを明らかにした。こうした取組は、我が国の国語科教育を大きく進展させるための重要な手がかりとなるものと考えている。 なお、この成果をさらに精査し、公表するところまでには至らなかった。この点については今後の課題とするところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで執筆してきた論文や、翻訳した資料等を整理した上で、研究のまとめとして仕上げていくことを目指す。 また、研究代表者が主に小学校教育関係者を対象として行う講演等においても、本研究の成果を踏まえて、各教科等の学習に機能する読解力育成の具体的な在り方や実践の方向性などについて周知を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各教科等の学習に機能する読解力育成のための指導改善の在り方を取りまとめることとしていたが、指導改善の方法は、最終年度後半になって多様な工夫例が出されてきたため、取りまとめ作業を完了するまでには至らなかった。そのため、ワーキンググループ開催経費及び公表の経費について未使用額が生じたものである。 ワーキンググループ開催のための旅費@26,360円×6回=158,160円、成果集約のための印刷製本費 50,000円、事務用品等 1,840円 合計210,000円
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Research Products
(1 results)