2011 Fiscal Year Research-status Report
身体を通して自然環境を体感する"膜構造"を用いた教育遊具の開発
Project/Area Number |
23531246
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
村松 俊夫 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (00262642)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
本研究の目的は、様々な形態が持つ基本的な性質(動き・錯視)について、造形芸術的側面と科学的側面からアプローチし、造形教育(デザイン)のみならず理科教育(物理)や数学教育(幾何学)の見地からも有用な内容を、体験者が直接手で触って感受できる、あるいはそれに乗って遊ぶことができる大型の教育遊具として開発することにある。今年度の研究成果は、23年度の展覧会における展示(第61回モダンアート展,2011年6月21~26日,福岡市美術館9月5~10日,横浜市民ギャラリー9月5日~10日、第7回ピアザ展,8月1日~6日)、ならびに学会等における口頭発表((1)日本基礎造形学会,2011年10月2日,日本電子専門学校、(2)環境芸術学会,2011年10月8日,新潟大学、(3)日本図学会,11月26日,大阪市立大学)で公表した。とくに展示に関しては、鑑賞者や体験者から広く意見を聴取し、その反応等を調査したうえで次の試作への参考資料とするため、平成24年2月8日から14日の間、山梨県立美術館において個展を実施した。会場には、現在まで完成している試作5点と地上遊泳シリーズ3点の計8点を展示した。そこでは、ヘルメット・身体保持用ハーネス等を準備し、十分な安全性を確保したうえで、様々な年齢層・性別の鑑賞者に搭乗実験をおこなった。あわせて鑑賞者・搭乗者にアンケートを実施し、反応等を調べ、以降の研究への資料を収集した。なお、前回の科学研究費における研究成果を国際学会において口頭発表した論文が、座長推薦により投稿中であったが、査読を通過し英文国際ジャーナルJournal for Geometry and GraphicsVolume 15 (2011), No. 2, (PP.203-212)に掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究成果は、展覧会における展示2回(3会場)、ならびに学会等における口頭発表3回(そのうち1回は同時に作品発表をした)で公表した。とくに展示に関しては、研究の目的・計画に記載した通り、今後の試作への参考資料とするため個展をおこない、鑑賞者や体験者から広く意見を聴取するアンケートを実施した。また、前回までの研究成果が注目され、大手出版社から事典の項目執筆を依頼された。以上のことから、今年度の達成度は、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在まで完成している試作をもとに、応用可能なFRP(繊維強化プラスチック)技術の中から、「仮想包絡面」に最適な素材・制作方法等の研究をおこない、数種の小型スタディモデルを制作する。とくに「偶数スフェリコン」においては、この「仮想包絡面」に沿った部分を曲面の膜構造とし、曲面の一部を搭乗口として計画し、強度を損なうことなく安全性・軽量化を図れるスタディモデルの造形的試行をおこなう。さらにある文献には、「偶数スフェリコン」のみならず正5角形などによる「奇数スフェリコン」の可能性も示唆されており、それらにも "仮想支点"・"仮想接地線"が適用できるのかを検証する。また、ここまでの成果を国内外の学会で発表し、論文としても投稿する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度、3回にわたる業者との詳細な打ち合わせにおいて、"膜構造"による試作品製作には当初予定していた金額より4割増の経費となることが判明した。そのため、今年度執行予定であった経費の一部を留保し、次年度の経費と合わせ試作品作成に必要な加工費として使用する。その他、研究成果を展示会を通して発表するため経費(会場借り上げ料、展示会参加料、運搬費、広報通信費)として使用する。また、調査研究・学会発表のために必要な経費(旅費、学会参加費、翻訳・校閲料、学会誌投稿料)として使用する。
|
Research Products
(7 results)