2013 Fiscal Year Research-status Report
身体を通して自然環境を体感する“膜構造”を用いた教育遊具の開発
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23531246
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
村松 俊夫 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00262642)
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Keywords | 教育遊具 / 美術科教育 / キネティックアート / 造形論 / 形態構成 / 幾何学 / 物理学 / 身体性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、様々な形態が持つ基本的な性質(動き・錯視)について、造形芸術的側面と科学的側面からアプローチし、造形教育 (デザイン)のみならず理科教育(物理)や数学教育(幾何学)の見地からも有用な内容を、体験者が直接手で触って感受できる、あるいはそれに乗って遊ぶことができる大型の教育遊具として開発することにある。 これまで、FRP(繊維強化プラスチック)を用いた「面(膜)構造」による搭乗型造形作品の可能性を検討したが、外部を見通せる透明度があり、なおかつ荷重に耐えうる素材を発見することが難しかった。そこで、これまでのメインフレームに細いステンレスパイプを組み込んだ梯子状の“膜構造”で搭乗型作品を試作した。 今年度の研究成果は、展覧会における展示として 1.第63回モダンアート展(東京都美術館2013年4月2日~16日、京都市美術館5月14日~19日、福岡市美術館5月28日~6月2日、愛知県美術館ギャラリー6月19日~23日)、2.第9回ピアザ展(山梨県立美術館)2013年6月21日~27日、3.日本基礎造形学会第24回札幌大会作品展(札幌市教育文化会館ギャラリー)2013年9月21日~23日、で公表した。 学会等における口頭発表では、1.“梯子構造による面”を用いた搭乗型教育遊具の開発(2013年度日本図学会春季(兵庫)大会・産業技術短期大学)2013年5月12日、2. Octasphericonを基盤にした「Space Walk on the Earth IV」について(2013年度日本基礎造形学会札幌大会・札幌市教育文化会館)2013年9月23日、で公表した。 なお、5月11日の2013年度日本図学会総会において「優秀研究発表賞」を受賞した。 また、同総会において、科学研究費助成によるこれまでの研究業績により「日本図学会賞」も受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の研究では、これまでのメインフレームに細いステンレスパイプを組み込んだ梯子状の構造で搭乗型作品を試行した。結果、 前作「Space Walk on the Earth II」と比較し、それとの差異として次の3点が検証された。1.“仮想接地線”をさらに拡大することで平行な実接地線円弧の幅が拡がり、実材で構成された空間がより大きくなった。2.座席を排し、作品に身体を固定しないことにした。これにより、ジャングルジムの内部を歩行移動する感覚で、搭乗者がさかさま になることなく作品を回転させることができた。また、身長175cm程度の搭乗者も内部に入れる作品となった。3.平行な円弧による実接地線の幅を拡げたことにより、IIよりも安定性の高い円柱側面が生まれ、シーソーのような往復運動を繰り 返す新たな搭乗方法の可能性を確認できた。 25年度の研究では、膜構造による教育遊具の具現化が達成できたため、派生的に生じた「奇数スフェリコン」の動きについて研究を進めた。すでに試作をしていた「Tri-Sphericon」についての研究発表は、2013年度日本図学会大会における優秀研究発表賞を受賞しており、研究に対する期待が寄せられている。そこで、プロトタイプを3倍に拡大し、さらに中央のステムを外すために2つのムクの球体を先端にとりつけた大型試作品を完成させた。動きは予想した通りに緩やかなものであり、様々な形態の変化を見せながら一定の軌道に沿って往復運動を繰り返した。このように、「奇数スフェリコン」は無限に転がっていくことがなく、比較的安全性の高い視覚的教育遊具としてさらなる可能性があることを確認できた。 前述の大会において、科学研究費助成によるこれまでの研究業績により「日本図学会賞」を受賞したことも含め、今年度の研究目的に対する達成度はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度はこれまでの試作品をすべて公開する展示会を実施する。その場において体験者・鑑賞者から様々な意見・感想を聞き取り、最終年度としてこれまでの研究成果をまとめ教育遊具としての更なる改良をめざす。また、次年度にまたがるかもしれないが、科学研究助成による成果を広く社会に還元するためホームページを開設する。 25年度の研究では、研究計画にも記載していたとおり「奇数スフェリコン」の動きについて検証を開始している。この萌芽的研究に関しては、学会で高い評価(2013年度日本図学会大会における「優秀研究発表賞」受賞)を得たので、今後はこの方面の可能性をさらに掘り下げ次の研究テーマとする。さらに本課題研究を進めるにしたがい、「偶数スフェリコン」における「回転軸の違いによるハイブリッド型の“等高重心立体”」が成立する可能性も確認できた。26年度以降はこの2つの方向性をもって研究を継続したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際学会に参加する予定であったが、校務(教員免許更新講習講師)の優先(カナダ)、ならびに国際情勢の不安定(中国)により、渡航を取りやめたため。 最終年度における研究成果公開の場として計画した展示会会場費にあてる。
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Research Products
(4 results)