2011 Fiscal Year Research-status Report
小学校の外国語活動における遠隔会議を活用したESD(持続発展教育)の教材開発
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23531251
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
永田 成文 三重大学, 教育学部, 准教授 (40378279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田部 俊充 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20272875)
荒尾 浩子 三重大学, 教育学部, 准教授 (90378282)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 文化交流 / オーストラリア |
Research Abstract |
本研究では,小学校低学年の生活科・中学年の総合的な学習の時間・高学年の外国語活動においてESD(持続発展教育)の視点を取り入れ,TV会議システムによる遠隔会議を活用する。日本の児童と諸外国の児童が文化領域や環境領域や経済領域の問題について意見交換を行うことで,小学校の外国語活動において,異文化コミュニケーション能力の育成とともに持続可能な社会の形成に向けた実践的判断力を育成する発達段階に応じたESD教材を開発することを目的としている。また,ESD教材を開発することで,小学校の外国語活動における発達段階に応じたカリキュラム開発も視野に入れている。 平成23年度から26年度にかけて,地理教育と英語教育が連携して遠隔会議を活用したESD教材を開発し,各年度において,第2学年から第5学年という同一児童集団によるESD教材と毎年第6学年によるESD教材を開発することで,それぞれ発達段階からのESD教材の内容と方法の検討と内容の妥当性の検討を行っていく。 平成23年度は,小学校第2学年の生活科において,日本側の児童がオーストラリアの児童に対して,身近な地域の探検や身近な地域の人々との交流について発表した。オーストラリア側からは身近な生活の中で差別を行わないことの重要性についての発表がなされた。また,小学校第6学年の外国語活動において,日本側の児童がオーストラリアの児童に対して,身近な地域の企業におけるCSR(企業の社会的責任)の取り組みについて,環境を守る活動を中心に発表した。オーストラリア側からは生活の中でバランスよく栄養を摂取することの大切さについての発表がなされた。 平成23年度は,第2学年と第6学年の発達段階に応じて,それぞれ文化領域に関するESD教材,経済領域に関するESD教材を開発することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,三重大学の地域連携校である津市立北立誠小学校とオーストラリアのシドニー郊外にあるクージー小学校(Coogee public school)において,開発した単元の実験授業を行い,その成果を分析し,次年度以降に向けてより目標を達成できる教材に改善する方策を提案していく。そのために,平成23年度は研究組織の運営体制の確立が最重要課題となる。 平成23年度は大学側と小学校側が協同でESD教材を開発していくことを確認し,開発する単元の前後で連携会議を6回もった。その会議の中で,23年度は学校行事や教育内容にそったESD教材の開発に取り組むことを確認した。大学側はESDの教材開発の方針を明確にし,ESDの内容を英語で伝え合うための支援を行った。小学校側は遠隔会議でのプレゼンテーションに用いるパワーポイントの作成やコミュニケーションの練習など独自に取り組んだ。研究代表者はクージー小学校に訪問し,連携担当者と話し合い,4年間でESDに関わるテーマについてお互いの児童が発表し合うことを確認した。研究分担者は,開発した単元の中で,オーストラリアの地域性に関する内容を地図を活用した授業を行ったり,英語の歌を紹介,パワーポイントの内容の添削,児童の発表に対するアドバイスを適宜行った。 研究代表者は北立誠小学校とクージー小学校との連携を図り,ESD教材全体を総括し,研究分担者はESD教材における地図の活用の授業,児童のコミュニケーション指導を支援するという体制を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は,大学と小学校との協同により,第2学年で文化領域に関わるESD教材を,第6学年で経済領域に関わるESD教材を開発した。それぞれ実験授業を行い,授業の児童の様子やアンケートの結果から,目標のである児童の異文化コミュニケーション能力を着実に育成することができた。また,遠隔会議による諸外国の児童と交流することに対する関心・意欲・態度を高めることができた。 しかし,もう1つの目標である持続可能な社会の形成に向けた実践的判断力を育成することが不十分となった。これは,それぞれの学年で発表するテーマが異なっていたことが原因の1つとして考えられる。今後は,日本とオーストラリアで綿密に連絡を取り合い,なるべく近いテーマを設定することが考えられる。また,大学の教員による授業で持続可能な社会の形成を意識させるような時間を組織することが必要である。 23年度は2学年で文化領域,6学年で経済領域のESD教材の開発を行った。24年度は3学年の総合学習における環境領域のESD教材の開発,6学年の外国語活動における文化領域のESD教材の開発を予定している。3学年では,簡単な英文を記したボードやパワーポイントを活用し,お互いの地域について伝え合う。6学年では,英文のパワーポイントと英語を使って,お互いの国の多文化共生に関わる活動を伝え合う。 このように前年度と異なる領域のESD教材を開発し,その内容や方法が発達段階に適しているのかを分析していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は,地理教育の立場から,国内におけるESD実践を収集したり,オーストラリアのESDに関わる実践を視察したり,国際学会に参加するなどして広く情報収集に努めた。また,英語教育の立場から,異文化コミュニケーション関する指導について,国際学会に参加することで最新の情報を収集した。 平成24年度は,引き続き国内外でのESDの実践を収集し,異文化コミュニケーションのあり方を調査し,研究者の間で綿密に連絡を取り合うことによりさらに目的を達成できるようにESD教材を開発していく。具体的には,地理教育の立場からは地域における持続可能な社会の形成という視点から,英語教育の立場からは,第二外国語における異文化コミュニケーションのあり方という視点から考察を深めていく。また,23年度の成果を国内外で積極的に発表していく。 オーストラリアのクージー小学校を再度訪問し,2年目以降に計画的にESDのテーマを開発していくことを確認する。お互いに近いテーマで発表し,それらを受けて,持続可能な社会の形成に向けた実践的判断力を育成できるような単元を開発していく。また,クージー小学校の地域性やオーストラリアの地域性がより鮮明になるような写真集やビデオを作成する。 地理教育におけるESD授業となるように,地域スケールや地域性からそれぞれの地域の問題を考察していくような単元を開発していく。そのため,地図そのものの活用とともに地図作成ソフトなどの活用を検討する。 平成23年度の研究成果を平成24年度に国際学会で発表することが認められたため,その旅費のために平成23年度分を繰り越すことにした。
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Research Products
(4 results)